月彩 Tsukisai...*

歳時記・旧暦・季節暦・美し和言葉・暮らし雑学...☾*

四月

四月卯月

卯月(うづき)

旧暦では「卯の花(ウツギ)」が咲く頃。
卯月の「う」は「初(うい)」「産(うぶ)」で
農耕の1年の初めの月を意味したともいわれます。

四月は春たけなわ、国中の花々の大部分が一斉に咲き乱れ、自然が華やぐとき。
陽光の明るさが増し、人のこころも活動的になります。
年度始めの月で、入学や入社や転勤など、新しい門出となる月です。
四月の陰暦月名は卯月。陰暦十二ヵ月で花の名がついた唯一の月です。
卯の花が咲く月という意味で、卯花月(うのはなづき)とも言います。

4月は卯月、卯花月、花残月、清和月、鳥月とも呼ばれます。
卯月や卯花月は卯の花が咲く頃からということでしょう。
平安時代、女性の衣の襲(かさね)にも卯の花があります。
表を白、裏が萌葱でこの色目は4月に装っていたとか。
花残月は桜が咲き残るというイメージでしょうか。
清和月というのは空が晴て清らかに暖かいことを清和ということからの呼び名。
晴れて清らかだけなら秋になりそうですが
暖かいが加わるとやはり春4月なのでしょう。

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卯木(うつぎ)の花が、随所に咲き乱れるので「卯月」
または「卯の花月」とよばれています。
卯木の花は、古くから日本人に親しまれてきた花で
満月が卯の花を照らす光景を愛でて「卯の花月夜」と表現しました。 
気候的には暖かくなり,太陽の光に恵まれるようになった月という意味で
「正陽」「純陽」「六陽」などとも言いました。また、旧暦の四月は夏にあたるので
「初夏」「新夏」「孟夏」などとも言われていましたが
現実感がないのでほとんど使われていません。
桜の散ったあとの余りの月ということから「余月」、
桜の花のない月ということから「陰月」とも言われていました。

卯月とは卯の花(空木)月の意味で垣根に卯の花が咲く月ということ。 
夏の字の付く名が多いのは、旧暦思想では三月までが春、
四・五・六月は夏となっていたから。 
麦秋というのは、今では五月に対しても使いますが
麦が黄色に熟する収穫月の意味です。 
暦の上では夏と呼んでも、実際はまだ春です。
その一日をエイプリルフールと言って、ユーモアの日とするのも
いよいよ春らしくなった喜びの記念でしょう。

●定番のあいさつ
桜花の候 春爛漫の季節を迎えました。
春のけはいがようやくととのったようで・・・
拝啓 麗春の候、お元気でお過ごしのことと存じます。
春の日差しが心地よい毎日でございますが、いかがお過ごしですか。
花便りが各地から届くこのごろですが・・
春たけなわの季節となりました。いかがお過ごしですか。
春の日差しが心地よい毎日でございますが・・・
春陽のみぎり、ますますお元気でご活躍のことと存じます。
拝啓 春爛漫の候 お変わりはありませんか。

四月の異称
卯月(うづき)utuki
余月(よげつ)
陰月(いんげつ)
卯花月(うのはなづき)
花残月(はなのこりづき)
夏初月(なつそめづき)
木葉採月(このはとりづき)
得鳥羽月(とくちょううづき)
初夏(しょか)
首夏(しゅか)
孟夏(もうか)
始夏(しか)
維夏(いか)
立夏(りっか)
麦秋(ばくしゅう)
正陽(しょうよう)
六陽(りくよう)
と、夏・陽の付くものが多くあります。

六気(ろっき)
仲呂(ちゅうろ)
純乾(じゅんかん)
乾梅(かんばい)
修景(しゅうけい)
小満(しょうまん)
と、ひどく難しいものまで合わせると、四十種近くあります。

時候の挨拶
陽春の候  仲春の候  春和の候  桜花の候  麗春の候  花冷えの候
春暖の候  晩春の候  春たけなわのこの頃  うららかな季節を迎え
春暖いっそう覚えますこの頃  若葉萌え立つ今日この頃
ものみな春の装いとなってきました  桜の花は今を盛りと咲き誇っております

【結び】
春爛漫の折、どうぞ健やかにお過ごしください
花冷えの季節、くれぐれもご自愛ください

4月の季語
春暖/陽春/春風/花曇り/花冷え・春暖の候 ・陽春のみぎり ・花冷えの頃 など

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◎『花時』(はなどき)
花の咲く時期、花盛りの見ごろの頃。特に、桜の花の場合をさす。
それぞれの花が、美しく咲いている時期をいいます。

この季節は「桜」が美しい季節。
日本の国花でもある桜は、全国各地を彩るだけでなく
歌に詠まれたり、絵画や文様のモチーフとしても広く親しまれています。
平安の昔より「花」と詠まれれば「桜」を意味するほど特別な存在だったように
日本語には桜にまつわる美しい言葉がたくさんあります。

~さまざまの事思ひ出す桜かな~  (松尾芭蕉)

◎桜のいろいろ
幸福なことを「幸い(さいわい)」と言いますが、その古語は「さきはひ」。
「咲く」の名詞形の「さき」と、ある状態が長く続くことをあらわす
「はひ("気配""味わい"などの"はひ")」という言葉が
つながってできた言葉だそうです。
つまり、「さきはひ」は「花盛りが長く続く」という意味。
古代の日本人は、心の中に花が咲きあふれているような状態を
幸せと感じたのでしょう。
現代の私たちが満開の桜を見て幸福感を味わうのは
そんな遠い記憶によるものかもしれません。

その一方で、あだ桜、こぼれ桜、落ち桜、葉桜......と
折々の桜の姿をとらえて美しい名前が付けられてもいます。
それはきっと、これまで多くの人が桜のさまざまな表情を愛してきたという証し。
盛りの時ばかりでなく、散りゆく姿までを味わい慈しんできた
日本人の細やかな感性を思うとき、ちょっと誇らしい気もしてきます。 

夜桜
千年の昔から桜の美しさは、日本人の心に深く根づいています。
ですが、春のまばゆい日差しで華やかに咲き誇る桜とは別に
もうひとつの顔があります。
それは月明かりやボンボリの灯りに照らされた夜桜です。
近頃では人工的にライトアップされた夜桜も多く見られようになりました。
昼間と違い、闇に浮かび上がる姿は
不思議な妖しさをたたえて、人々を魅了します。

夜桜名所として日本三大夜桜と言われるのが
青森県の弘前公園、東京都の上野恩賜公園、新潟県の高田公園です。
弘前公園は、白亜の天守閣と堀りに散った花びらが美しく浮かび上がり
五千本の桜が昼間とは別に華やかな濃厚感に包まれます。

上野恩賜公園は、二千五百本のボンボリが吊され
夜桜は混雑ぶりの方が話題になるほどですが
ここでは不忍池周辺がお勧め。
こちらは賑わい少なく、池周辺に桜並木が続き、夜空が近く見え
都会とは思えない穴場的な夜桜見物が楽しめます。

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清明(せいめい)
二十四節気の一つで、春分後十五日目の日を言います。
旧暦三月の節で、毎年四月四、五日頃にあたります。
「清明」の意味は清浄明潔などといって、春先の万物が
けがれもなく清らかに生き生きしているさまを表した言葉を示します。
この時期は花々の好季節で行楽に適しており、踏青(とうせい)と称して
郊外に遊歩するのに最も恵まれた季節とされています。
従ってこの頃の風物を詠んだ名詩が数多く残っています。

旧暦3月の節気。 春分から15日目。
春先の清らかで生き生きとした様子を表した
「清浄明潔」という語を略したもの。

清明とは万物が若返ってすがすがしく、明るく美しくなることです。 
日本列島はさまざまの花が咲き乱れ、特に桜前線が次第に北上して
お花見シーズンの当来で、人々の心が浮き立ってきます。
南の地方では、越冬つばめが渡って来る頃でもあります。
いよいよ冬と決別して、温暖な季節となるので
旧暦時代には4月1日を衣替え(ころもがえ)の日としていました。
この日から冬の着物の綿入れを脱いで袷(あわせ)に着替えるところから
四月一日と書いて「わたぬき」という姓があるほどです。
もっとも、太陽暦の4月1日に衣替えをすると
風邪を引くおそれがありますからご注意を!
清明の節の終りから、次の穀雨の頃になればちょうど良いでしょう。

古くから中国では、清明の日に人々は郊外に出て春の風物を楽しんだり
先祖の墓参りをしました。
沖縄では「清明祭(シーミー)」といって、墓前に親族が集まり
酒・茶・お重を供えた後、皆でご馳走をいただく習慣があるそうです。 
沖縄ではお墓の前は「清明祭」をするための広いスペースが設けてあります。
ここで、お重を囲んで宴が催されるのだそうです。
気候もいい頃ですし、今ではピクニック感覚でどのお墓もとても賑やかだとか。 

二十四節気の一つで、春分後十五日目の日を言います。
旧暦三月の節で、毎年四月四、五日頃にあたります。
「清明」の意味は清浄明潔などといって、春先の万物が
けがれもなく清らかに生き生きしているさまを表した言葉を示します。
この時期は花々の好季節で行楽に適しており、踏青(とうせい)と称して
郊外に遊歩するのに最も恵まれた季節とされています。
従ってこの頃の風物を詠んだ名詩が数多く残っています。
清明とは、二十四節気の五番目の季節で
生きとし生けるあらゆる者達が、清らかに生命を輝かせる
という意味があるそうです。草花が咲き乱れ、鳥や虫たちが舞い飛び
ポカポカと暖かな陽気に包まれる時期です。

穀雨(こくう)
4月20日頃(2017年は4月20日)。
および立夏までの期間。太陽黄径30度
清明から数えて15日目頃。春季の最後の節気。

春雨が百穀を潤すことから名づけられたもので
雨で潤った田畑は種まきの好期を迎えます。
この時季に、特に雨が多いというわけではありませんが
穀雨以降、降雨量が多くなり始めます。
「清明になると雪が降らなくなり、穀雨になると霜が降りることもなくなる」
という言葉があるように、南の地方ではトンボが飛び始め
冬服やストーブとも完全に別れる季節です。
変わりやすい春の天気もこの頃から安定し、日差しも強まってきます。
昔から、この日に合わせて田畑の準備をします。
穀雨が終わる頃に八十八夜を迎えます。

穀雨とは稲や麦などの穀物の生長を助ける雨のことで
その雨の降る頃が穀雨の時期です。
春雨が百穀を潤すことから名づけられたもので、雨で潤った田畑は
種まきの好期を迎えます。
山野は穀雨の恵みによって緑のカーペットに覆われます。
この頃の雨は穀物だけでなく、あらゆる植物の生長を助けます。
南の地方ではトンボが飛び始め
冬服やストーブとも完全に別れる季節です。
変わりやすい春の天気もこの頃から安定し日差しも強まってきます。
もともとは、秋に種をまいた麦類の生長を助ける雨のことで
麦は穂が出て実を着けるようになります。
のちに稲にも適用されるようになりました。
穀雨の節気の終り頃、八十八夜(5月2日)となります。
立春から数えて88日目のことです。
この頃、多くの地方で霜が降らなくなります。
「八十八夜の別れ霜」とはそのことを指します。
しかし、時としてこの頃に遅霜(おそじも)が降りて
農作物に被害を与えることがあります。
これを「八十八夜の毒霜」といいます。油断大敵です。
八十八夜の頃から茶摘みが始まり、香りの良い新茶が
私達の味覚を楽しませてくれます。

春の雨が百穀を潤すという意味を持つ二十四節気の一つで春の最後の節気。
日射しも次第に強くなり始め、雨で湿った田畑は
秋に収穫する穀物の種まきシーズンとなり
穀雨を目安として田畑の準備をはじめます。
暦の上では穀雨を過ぎると夏を迎えます。 

百穀春雨
この時期に降る雨は、穀物を潤し芽を出させる春雨ということで、
百穀春雨と言われているようです。 
春時雨
降ったりやんだりする春の気まぐれな雨のことです。 
菜種梅雨
菜の花の咲いている時期に降り続く雨。 
紅の雨
ツツジやシャクナゲ、桃など紅の花が咲く頃の雨です。

春の土用(はるのどよう)  
立夏までの約18日間にあたる雑節の一つ。春の土用の入りは新暦4月17日頃。
土用とは「土旺用事」の略で、陰陽五行説による季節の割り振りで
四季に配当(冬:水、春:木、夏:火、秋:金)されなかった「土」の支配する時期として
各季節の末18日ないし19日間を指すもの。
季節の変わり目にあたる。現在は夏土用のみを土用と言うことが多い。

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おぼろ月 【朧月】
春の月は、ボンヤリと見えて輪郭がはっきりしていないことが多いですね。
これは、昼間の霞と同じ性質の空中に浮かぶ浮遊物のせいです。 
霧・モヤ・煙霧などによって視界がさえぎられて、月がかすんで見えたり、
その周りにボンヤリとしたまるい輪が見えたりします。 

春は移動性高気圧が通過したあとに温暖前線が近づいてきますが、
そのとき、まず絹雲・絹層雲・次いで高積雲・高層雲が現れます。
この層雲は霧状だから、地上から通して見れば
太陽や月がかさをかぶって見えたり、
おぼろに見えたりします。
また春は、夜間に冷え込んで地面付近の気温が下がっているところへ、
南からあたたかい風が吹いて、
上空のほうが比較的温度が高いという『気温の逆転層』を作ります。
この層の下に霧が出来やすいのでほんのりと美しいおぼろ月が見えたりします。

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入学式・入社式
【入学式】や【入社式】は四月の代表的な行事です。
でも近代教育制度が始まった明治初期は
欧米の制度を取り入れていたので、九月に行われていたようです。
その後、国の会計年度が四月始まりになり、それに合わせて入学式や入社式も
年度初めの四月に行われるようになったとか。 

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お花見
お花見は、日本人が古来から楽しみにしていた春の行事です。
「花見」といえば桜の花を見るために野山に出かけること。
桜以外の花を見に行くときは「梅見」「観梅」「観菊」などと
その花の名前をつけて表します。
昔から日本人にとって「桜」は特別な花でした。

奈良時代には、花といえば梅や萩などを指していましたが
平安時代の貴族たちは桜を春の花の代表格として愛で
歌を詠み、花見の宴を開いて楽しんでいました。
以来、この時季に咲き誇る花は、桜以外にも桃や菜の花など色々ありますが
日本人にとっては「花」といえば桜の花を意味するようになりました。
また、お花見は豊作祈願の行事として、農民の間でも行なわれていました。
桜は、春になって山からおりてきた田の神様が宿る木とされていたため
桜の咲き方でその年の収穫を占ったり
桜の開花期に種もみをまく準備をしたりしていました。
「サクラ」の語源には諸説ありますが、一説によると
「サクラ」の「サ」は田の神様のことを表し
「クラ」は神様の座る場所という意味があり、「サクラ」は
田の神様が山から里に降りてくるときに、いったん留まる
依代(よりしろ)を表すとされています。
また、桜の花が稲の花に見立てられ、その年の
収穫を占うこ とに使われたりしていたため、「サクラ」の代表として
桜の木が当てられるようになったという説もあります。
豊作を願って、桜のもとで田の神様を迎え、料理 や酒でもてなし
人も一緒にいただくことが本来のお花見の意味だったのです。
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江戸時代になると、春の行楽としてお花見が庶民の間にも広がり
酒を酌み交わすお花見になっていきました。
江戸時代は、園芸が盛んになった時代でもあり
桜の品種改良が進んだことで、身近な場所で
お花見が楽しめるようになったのです。
三代将軍家光が上野や隅田河畔に桜を植え、八代将軍吉宗は
飛鳥山を桜の名所にし、花見の場も増えました。これらは今でも
東京のお花見の名所になっています。

桜は古くから親しまれており、私たちの暮らしの中に深く根付いています。
春の気候や情景を表す言葉にも「桜」が使われているものが沢山あります。
古くから「花見」といえば「桜」の花を見ることを意味したように
日本人にとって桜は特別な花。ただ「花」と表されていても
桜を指すことが多いです。

桜の蕾が赤みを帯びる頃は、私たちのからだが上を向きたいと思う頃。
その溢れんばかりの力強さを少しでも感じたくて
背筋が自ずと伸びるのは私だけでしょうか。
ほころび、そして花が開きはじめると、からだも開いていく。
花を愛でれば、少し前の愁いも次第に消え、活動的になっていく。
桜の便りが北上するとともに、日本に住む人の気分も
上昇しているとしたら、とても喜ばしいことです。

文学における「花」は、平安時代以降、
「梅」から「桜」へ替わったとされています。
花曇り、花冷え、花衣、花の雲、花の雨、花の宿、花の昼…、
散った花が水に浮かぶことを、まるで筏のようだと見立て
「花筏(はないかだ)」と呼ぶ。
一床、二床と浮かぶ数少ない花筏には趣があります。
何百床、何千床ともなれば、川をうねりながら織りなし
前衛的ともいえる芸術と化すことを、ある映像から知りました。
先人たちは、日常に使う言葉に「花」を添えることで
短いひとときを十分に味わおうとしたのです。

花が散りはじめると、同時に若葉が芽吹き
葉桜としての美しさを愛でることができます。
その後、すべてが落花し、がくに残った
紅い蘂(しべ)が目立ちはじめ、そして「桜蘂降る(さくらしべふる)」。
この言葉が晩春の季語として歳時記に掲載されています。

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気候や開花にまつわることば

【花冷え】
桜が咲きほこる時期に、暖かくなった気候が
一時的に冷え込むことを表します。
【花曇り】
桜が咲く時期の曇り空のこと。
渡り鳥が移動する時期なので、鳥曇りとも呼びます。
【桜流し】
春の雨で桜の花びらが落ち、流されていく様を言います。
また、桜を散らしてしまう雨のことも表します。
【桜前線】
日本各地の桜(主に染井吉野)の開花予想日の
同じ日付の場所をつないだ地図上の線。
マスコミの造語で、気象庁による正式名称は
「桜の開花の等期日線」といいます。
3月上旬に九州や西日本からスタートし、次第に北上して
5月上旬に北海道に至ります。
【花時】
花が咲く頃や盛りになる頃のこと。
特に桜が満開になる時期を指すことが多いことばです。
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◎春眠
「春眠暁を覚えず」と、中国・唐の孟浩然(もうこうねん)の詩にある通り
冬から春への変わり目はとかく眠気を感じます。
植物が芽吹く春は、人の体も新陳代謝が盛んになり、エネルギー代謝に必要な
ビタミンB群が不足して眠くなるようです。
春の眠気対策に、ビタミンB群が多い菜の花(「なばな」)をサッとゆでて
お浸しや炒め物にしてみましょう。
鮮やかな色と春の香りに、体もシャキッと目覚めるでしょう。

桜の花の様子をあらわすことば
【こぼれ桜】
桜の花が満開で、まるで地面にこぼれ落ちたように見える様子のこと。
また、桜の花びらを散らした模様を指します。

【花吹雪】
満開の花、特に桜の花びらが風に吹かれて舞い散る様子が
まるで雪が吹雪いているように見えることから生まれたことばです。

【花明かり】
桜の花が満開で、闇の中でも辺りをほんのりと
明るく照らしているように感じられる様子を言います。

【花筏(はないかだ)】
水面に散った花びらが筏のように流れていく様子を言います。

【花の浮橋】
水面に散った花びらが橋のように集まっている様子。

お花見にまつわることば
【花かがり】
夜桜を鑑賞するために焚くかがり火のこと。
京都・祇園のものが有名です。

【花疲れ】
花見をして疲れてしまうこと。
人混みや満開の花に気持ちが高ぶったことからくる疲労感のことを指します。

少し横道にそれますが「花より団子」はきれいな桜の花を見るより
花見団子を食べたほうが良いというところから
「風流を理解する心がないこと」や
「名誉よりも実利を優先する」などという意味で使われます。

日本人らしい感性にあふれた美しいことばを
会話の中でさりげなく使えると素敵ですね

四月 卯月の暦

卯月(うづき)
旧暦では「卯の花(ウツギ)」が咲く頃。
卯月の「う」は「初(うい)」「産(うぶ)」で
農耕の1年の初めの月を意味したともいわれます。

四月は春たけなわ、国中の花々の大部分が一斉に咲き乱れ、自然が華やぐとき。
陽光の明るさが増し、人のこころも活動的になります。
年度始めの月で、入学や入社や転勤など、新しい門出となる月です。
四月の陰暦月名は卯月。陰暦十二ヵ月で花の名がついた唯一の月です。
卯の花が咲く月という意味で、卯花月(うのはなづき)とも言います。

4月は卯月、卯花月、花残月、清和月、鳥月とも呼ばれます。
卯月や卯花月は卯の花が咲く頃からということでしょう。
平安時代、女性の衣の襲(かさね)にも卯の花があります。
表を白、裏が萌葱でこの色目は4月に装っていたとか。
花残月は桜が咲き残るというイメージでしょうか。
清和月というのは空が晴て清らかに暖かいことを清和ということからの呼び名。
晴れて清らかだけなら秋になりそうですが
暖かいが加わるとやはり春4月なのでしょう。

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卯木(うつぎ)の花が、随所に咲き乱れるので「卯月」
または「卯の花月」とよばれています。
卯木の花は、古くから日本人に親しまれてきた花で
満月が卯の花を照らす光景を愛でて「卯の花月夜」と表現しました。 
気候的には暖かくなり,太陽の光に恵まれるようになった月という意味で
「正陽」「純陽」「六陽」などとも言いました。また、旧暦の四月は夏にあたるので
「初夏」「新夏」「孟夏」などとも言われていましたが
現実感がないのでほとんど使われていません。
桜の散ったあとの余りの月ということから「余月」、
桜の花のない月ということから「陰月」とも言われていました。

卯月とは卯の花(空木)月の意味で垣根に卯の花が咲く月ということ。 
夏の字の付く名が多いのは、旧暦思想では三月までが春、
四・五・六月は夏となっていたから。 
麦秋というのは、今では五月に対しても使いますが
麦が黄色に熟する収穫月の意味です。 
暦の上では夏と呼んでも、実際はまだ春です。
その一日をエイプリルフールと言って、ユーモアの日とするのも
いよいよ春らしくなった喜びの記念でしょう。

●定番のあいさつ
桜花の候 春爛漫の季節を迎えました。
春のけはいがようやくととのったようで・・・
拝啓 麗春の候、お元気でお過ごしのことと存じます。
春の日差しが心地よい毎日でございますが、いかがお過ごしですか。
花便りが各地から届くこのごろですが・・
春たけなわの季節となりました。いかがお過ごしですか。
春の日差しが心地よい毎日でございますが・・・
春陽のみぎり、ますますお元気でご活躍のことと存じます。
拝啓 春爛漫の候 お変わりはありませんか。

四月の異称
卯月(うづき)utuki
余月(よげつ)
陰月(いんげつ)
卯花月(うのはなづき)
花残月(はなのこりづき)
夏初月(なつそめづき)
木葉採月(このはとりづき)
得鳥羽月(とくちょううづき)
初夏(しょか)
首夏(しゅか)
孟夏(もうか)
始夏(しか)
維夏(いか)
立夏(りっか)
麦秋(ばくしゅう)
正陽(しょうよう)
六陽(りくよう)
と、夏・陽の付くものが多くあります。

六気(ろっき)
仲呂(ちゅうろ)
純乾(じゅんかん)
乾梅(かんばい)
修景(しゅうけい)
小満(しょうまん)
と、ひどく難しいものまで合わせると、四十種近くあります。

時候の挨拶
陽春の候  仲春の候  春和の候  桜花の候  麗春の候  花冷えの候
春暖の候  晩春の候  春たけなわのこの頃  うららかな季節を迎え
春暖いっそう覚えますこの頃  若葉萌え立つ今日この頃
ものみな春の装いとなってきました  桜の花は今を盛りと咲き誇っております

【結び】
春爛漫の折、どうぞ健やかにお過ごしください
花冷えの季節、くれぐれもご自愛ください

4月の季語
春暖/陽春/春風/花曇り/花冷え・春暖の候 ・陽春のみぎり ・花冷えの頃 など

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◎『花時』(はなどき)
花の咲く時期、花盛りの見ごろの頃。特に、桜の花の場合をさす。
それぞれの花が、美しく咲いている時期をいいます。

この季節は「桜」が美しい季節。
日本の国花でもある桜は、全国各地を彩るだけでなく
歌に詠まれたり、絵画や文様のモチーフとしても広く親しまれています。
平安の昔より「花」と詠まれれば「桜」を意味するほど特別な存在だったように
日本語には桜にまつわる美しい言葉がたくさんあります。

~さまざまの事思ひ出す桜かな~  (松尾芭蕉)

◎桜のいろいろ
幸福なことを「幸い(さいわい)」と言いますが、その古語は「さきはひ」。
「咲く」の名詞形の「さき」と、ある状態が長く続くことをあらわす
「はひ("気配""味わい"などの"はひ")」という言葉が
つながってできた言葉だそうです。
つまり、「さきはひ」は「花盛りが長く続く」という意味。
古代の日本人は、心の中に花が咲きあふれているような状態を
幸せと感じたのでしょう。
現代の私たちが満開の桜を見て幸福感を味わうのは
そんな遠い記憶によるものかもしれません。

その一方で、あだ桜、こぼれ桜、落ち桜、葉桜......と
折々の桜の姿をとらえて美しい名前が付けられてもいます。
それはきっと、これまで多くの人が桜のさまざまな表情を愛してきたという証し。
盛りの時ばかりでなく、散りゆく姿までを味わい慈しんできた
日本人の細やかな感性を思うとき、ちょっと誇らしい気もしてきます。 

夜桜
千年の昔から桜の美しさは、日本人の心に深く根づいています。
ですが、春のまばゆい日差しで華やかに咲き誇る桜とは別に
もうひとつの顔があります。
それは月明かりやボンボリの灯りに照らされた夜桜です。
近頃では人工的にライトアップされた夜桜も多く見られようになりました。
昼間と違い、闇に浮かび上がる姿は
不思議な妖しさをたたえて、人々を魅了します。

夜桜名所として日本三大夜桜と言われるのが
青森県の弘前公園、東京都の上野恩賜公園、新潟県の高田公園です。
弘前公園は、白亜の天守閣と堀りに散った花びらが美しく浮かび上がり
五千本の桜が昼間とは別に華やかな濃厚感に包まれます。

上野恩賜公園は、二千五百本のボンボリが吊され
夜桜は混雑ぶりの方が話題になるほどですが
ここでは不忍池周辺がお勧め。
こちらは賑わい少なく、池周辺に桜並木が続き、夜空が近く見え
都会とは思えない穴場的な夜桜見物が楽しめます。

yam0060-049_20170401132609452.jpg

清明(せいめい)
二十四節気の一つで、春分後十五日目の日を言います。
旧暦三月の節で、毎年四月四、五日頃にあたります。
「清明」の意味は清浄明潔などといって、春先の万物が
けがれもなく清らかに生き生きしているさまを表した言葉を示します。
この時期は花々の好季節で行楽に適しており、踏青(とうせい)と称して
郊外に遊歩するのに最も恵まれた季節とされています。
従ってこの頃の風物を詠んだ名詩が数多く残っています。

旧暦3月の節気。 春分から15日目。
春先の清らかで生き生きとした様子を表した
「清浄明潔」という語を略したもの。

清明とは万物が若返ってすがすがしく、明るく美しくなることです。 
日本列島はさまざまの花が咲き乱れ、特に桜前線が次第に北上して
お花見シーズンの当来で、人々の心が浮き立ってきます。
南の地方では、越冬つばめが渡って来る頃でもあります。
いよいよ冬と決別して、温暖な季節となるので
旧暦時代には4月1日を衣替え(ころもがえ)の日としていました。
この日から冬の着物の綿入れを脱いで袷(あわせ)に着替えるところから
四月一日と書いて「わたぬき」という姓があるほどです。
もっとも、太陽暦の4月1日に衣替えをすると
風邪を引くおそれがありますからご注意を!
清明の節の終りから、次の穀雨の頃になればちょうど良いでしょう。

古くから中国では、清明の日に人々は郊外に出て春の風物を楽しんだり
先祖の墓参りをしました。
沖縄では「清明祭(シーミー)」といって、墓前に親族が集まり
酒・茶・お重を供えた後、皆でご馳走をいただく習慣があるそうです。 
沖縄ではお墓の前は「清明祭」をするための広いスペースが設けてあります。
ここで、お重を囲んで宴が催されるのだそうです。
気候もいい頃ですし、今ではピクニック感覚でどのお墓もとても賑やかだとか。 

二十四節気の一つで、春分後十五日目の日を言います。
旧暦三月の節で、毎年四月四、五日頃にあたります。
「清明」の意味は清浄明潔などといって、春先の万物が
けがれもなく清らかに生き生きしているさまを表した言葉を示します。
この時期は花々の好季節で行楽に適しており、踏青(とうせい)と称して
郊外に遊歩するのに最も恵まれた季節とされています。
従ってこの頃の風物を詠んだ名詩が数多く残っています。
清明とは、二十四節気の五番目の季節で
生きとし生けるあらゆる者達が、清らかに生命を輝かせる
という意味があるそうです。草花が咲き乱れ、鳥や虫たちが舞い飛び
ポカポカと暖かな陽気に包まれる時期です。

穀雨(こくう)
4月20日頃(2017年は4月20日)。
および立夏までの期間。太陽黄径30度
清明から数えて15日目頃。春季の最後の節気。

春雨が百穀を潤すことから名づけられたもので
雨で潤った田畑は種まきの好期を迎えます。
この時季に、特に雨が多いというわけではありませんが
穀雨以降、降雨量が多くなり始めます。
「清明になると雪が降らなくなり、穀雨になると霜が降りることもなくなる」
という言葉があるように、南の地方ではトンボが飛び始め
冬服やストーブとも完全に別れる季節です。
変わりやすい春の天気もこの頃から安定し、日差しも強まってきます。
昔から、この日に合わせて田畑の準備をします。
穀雨が終わる頃に八十八夜を迎えます。

穀雨とは稲や麦などの穀物の生長を助ける雨のことで
その雨の降る頃が穀雨の時期です。
春雨が百穀を潤すことから名づけられたもので、雨で潤った田畑は
種まきの好期を迎えます。
山野は穀雨の恵みによって緑のカーペットに覆われます。
この頃の雨は穀物だけでなく、あらゆる植物の生長を助けます。
南の地方ではトンボが飛び始め
冬服やストーブとも完全に別れる季節です。
変わりやすい春の天気もこの頃から安定し日差しも強まってきます。
もともとは、秋に種をまいた麦類の生長を助ける雨のことで
麦は穂が出て実を着けるようになります。
のちに稲にも適用されるようになりました。
穀雨の節気の終り頃、八十八夜(5月2日)となります。
立春から数えて88日目のことです。
この頃、多くの地方で霜が降らなくなります。
「八十八夜の別れ霜」とはそのことを指します。
しかし、時としてこの頃に遅霜(おそじも)が降りて
農作物に被害を与えることがあります。
これを「八十八夜の毒霜」といいます。油断大敵です。
八十八夜の頃から茶摘みが始まり、香りの良い新茶が
私達の味覚を楽しませてくれます。

春の雨が百穀を潤すという意味を持つ二十四節気の一つで春の最後の節気。
日射しも次第に強くなり始め、雨で湿った田畑は
秋に収穫する穀物の種まきシーズンとなり
穀雨を目安として田畑の準備をはじめます。
暦の上では穀雨を過ぎると夏を迎えます。 

百穀春雨
この時期に降る雨は、穀物を潤し芽を出させる春雨ということで、
百穀春雨と言われているようです。 
春時雨
降ったりやんだりする春の気まぐれな雨のことです。 
菜種梅雨
菜の花の咲いている時期に降り続く雨。 
紅の雨
ツツジやシャクナゲ、桃など紅の花が咲く頃の雨です。

春の土用(はるのどよう)  
立夏までの約18日間にあたる雑節の一つ。春の土用の入りは新暦4月17日頃。
土用とは「土旺用事」の略で、陰陽五行説による季節の割り振りで
四季に配当(冬:水、春:木、夏:火、秋:金)されなかった「土」の支配する時期として
各季節の末18日ないし19日間を指すもの。
季節の変わり目にあたる。現在は夏土用のみを土用と言うことが多い。

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おぼろ月 【朧月】
春の月は、ボンヤリと見えて輪郭がはっきりしていないことが多いですね。
これは、昼間の霞と同じ性質の空中に浮かぶ浮遊物のせいです。 
霧・モヤ・煙霧などによって視界がさえぎられて、月がかすんで見えたり、
その周りにボンヤリとしたまるい輪が見えたりします。 

春は移動性高気圧が通過したあとに温暖前線が近づいてきますが、
そのとき、まず絹雲・絹層雲・次いで高積雲・高層雲が現れます。
この層雲は霧状だから、地上から通して見れば
太陽や月がかさをかぶって見えたり、
おぼろに見えたりします。
また春は、夜間に冷え込んで地面付近の気温が下がっているところへ、
南からあたたかい風が吹いて、
上空のほうが比較的温度が高いという『気温の逆転層』を作ります。
この層の下に霧が出来やすいのでほんのりと美しいおぼろ月が見えたりします。

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入学式・入社式
【入学式】や【入社式】は四月の代表的な行事です。
でも近代教育制度が始まった明治初期は
欧米の制度を取り入れていたので、九月に行われていたようです。
その後、国の会計年度が四月始まりになり、それに合わせて入学式や入社式も
年度初めの四月に行われるようになったとか。 

ランドセルの歴史
【ランドセル】はオランダ語の「ランセル」
“背負うカバン”を意味する言葉に由来します。
1885年に学習院で通学用カバンとして使われはじめ
その二年後に当時の内閣総理大臣伊藤博文が皇太子殿下【大正天皇】の
学習院初等科入学のお祝いに、箱型ランドセルを献上したのが
国産ランドセル第一号! 

入社式は日本独自の行事
新入社員を迎える【入社式】。
これは学校を卒業した新卒をまとめて採用する、日本独自の行事です。
欧米では四月の一斉入社はないので、入社式を行う習慣もないようです。
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お花見
お花見は、日本人が古来から楽しみにしていた春の行事です。
「花見」といえば桜の花を見るために野山に出かけること。
桜以外の花を見に行くときは「梅見」「観梅」「観菊」などと
その花の名前をつけて表します。
昔から日本人にとって「桜」は特別な花でした。

奈良時代には、花といえば梅や萩などを指していましたが
平安時代の貴族たちは桜を春の花の代表格として愛で
歌を詠み、花見の宴を開いて楽しんでいました。
以来、この時季に咲き誇る花は、桜以外にも桃や菜の花など色々ありますが
日本人にとっては「花」といえば桜の花を意味するようになりました。
また、お花見は豊作祈願の行事として、農民の間でも行なわれていました。
桜は、春になって山からおりてきた田の神様が宿る木とされていたため
桜の咲き方でその年の収穫を占ったり
桜の開花期に種もみをまく準備をしたりしていました。
「サクラ」の語源には諸説ありますが、一説によると
「サクラ」の「サ」は田の神様のことを表し
「クラ」は神様の座る場所という意味があり、「サクラ」は
田の神様が山から里に降りてくるときに、いったん留まる
依代(よりしろ)を表すとされています。
また、桜の花が稲の花に見立てられ、その年の
収穫を占うこ とに使われたりしていたため、「サクラ」の代表として
桜の木が当てられるようになったという説もあります。
豊作を願って、桜のもとで田の神様を迎え、料理 や酒でもてなし
人も一緒にいただくことが本来のお花見の意味だったのです。
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江戸時代になると、春の行楽としてお花見が庶民の間にも広がり
酒を酌み交わすお花見になっていきました。
江戸時代は、園芸が盛んになった時代でもあり
桜の品種改良が進んだことで、身近な場所で
お花見が楽しめるようになったのです。
三代将軍家光が上野や隅田河畔に桜を植え、八代将軍吉宗は
飛鳥山を桜の名所にし、花見の場も増えました。これらは今でも
東京のお花見の名所になっています。

桜は古くから親しまれており、私たちの暮らしの中に深く根付いています。
春の気候や情景を表す言葉にも「桜」が使われているものが沢山あります。
古くから「花見」といえば「桜」の花を見ることを意味したように
日本人にとって桜は特別な花。ただ「花」と表されていても
桜を指すことが多いです。

桜の蕾が赤みを帯びる頃は、私たちのからだが上を向きたいと思う頃。
その溢れんばかりの力強さを少しでも感じたくて
背筋が自ずと伸びるのは私だけでしょうか。
ほころび、そして花が開きはじめると、からだも開いていく。
花を愛でれば、少し前の愁いも次第に消え、活動的になっていく。
桜の便りが北上するとともに、日本に住む人の気分も
上昇しているとしたら、とても喜ばしいことです。

文学における「花」は、平安時代以降、
「梅」から「桜」へ替わったとされています。
花曇り、花冷え、花衣、花の雲、花の雨、花の宿、花の昼…、
散った花が水に浮かぶことを、まるで筏のようだと見立て
「花筏(はないかだ)」と呼ぶ。
一床、二床と浮かぶ数少ない花筏には趣があります。
何百床、何千床ともなれば、川をうねりながら織りなし
前衛的ともいえる芸術と化すことを、ある映像から知りました。
先人たちは、日常に使う言葉に「花」を添えることで
短いひとときを十分に味わおうとしたのです。

花が散りはじめると、同時に若葉が芽吹き
葉桜としての美しさを愛でることができます。
その後、すべてが落花し、がくに残った
紅い蘂(しべ)が目立ちはじめ、そして「桜蘂降る(さくらしべふる)」。
この言葉が晩春の季語として歳時記に掲載されています。

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気候や開花にまつわることば

【花冷え】
桜が咲きほこる時期に、暖かくなった気候が
一時的に冷え込むことを表します。
【花曇り】
桜が咲く時期の曇り空のこと。
渡り鳥が移動する時期なので、鳥曇りとも呼びます。
【桜流し】
春の雨で桜の花びらが落ち、流されていく様を言います。
また、桜を散らしてしまう雨のことも表します。
【桜前線】
日本各地の桜(主に染井吉野)の開花予想日の
同じ日付の場所をつないだ地図上の線。
マスコミの造語で、気象庁による正式名称は
「桜の開花の等期日線」といいます。
3月上旬に九州や西日本からスタートし、次第に北上して
5月上旬に北海道に至ります。
【花時】
花が咲く頃や盛りになる頃のこと。
特に桜が満開になる時期を指すことが多いことばです。
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◎春眠
「春眠暁を覚えず」と、中国・唐の孟浩然(もうこうねん)の詩にある通り
冬から春への変わり目はとかく眠気を感じます。
植物が芽吹く春は、人の体も新陳代謝が盛んになり、エネルギー代謝に必要な
ビタミンB群が不足して眠くなるようです。
春の眠気対策に、ビタミンB群が多い菜の花(「なばな」)をサッとゆでて
お浸しや炒め物にしてみましょう。
鮮やかな色と春の香りに、体もシャキッと目覚めるでしょう。

桜の花の様子をあらわすことば

【こぼれ桜】
桜の花が満開で、まるで地面にこぼれ落ちたように見える様子のこと。
また、桜の花びらを散らした模様を指します。

【花吹雪】
満開の花、特に桜の花びらが風に吹かれて舞い散る様子が
まるで雪が吹雪いているように見えることから生まれたことばです。

【花明かり】
桜の花が満開で、闇の中でも辺りをほんのりと
明るく照らしているように感じられる様子を言います。

【花筏(はないかだ)】
水面に散った花びらが筏のように流れていく様子を言います。

【花の浮橋】
水面に散った花びらが橋のように集まっている様子。

お花見にまつわることば

【花かがり】
夜桜を鑑賞するために焚くかがり火のこと。
京都・祇園のものが有名です。

【花疲れ】
花見をして疲れてしまうこと。
人混みや満開の花に気持ちが高ぶったことからくる疲労感のことを指します。

少し横道にそれますが「花より団子」はきれいな桜の花を見るより
花見団子を食べたほうが良いというところから
「風流を理解する心がないこと」や
「名誉よりも実利を優先する」などという意味で使われます。

日本人らしい感性にあふれた美しいことばを
会話の中でさりげなく使えると素敵ですね

四月 卯月の暦

◆卯月(うづき)
旧暦では「卯の花(ウツギ)」が咲く頃。
卯月の「う」は「初(うい)」「産(うぶ)」で
農耕の1年の初めの月を意味したともいわれます。

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卯木(うつぎ)の花が、随所に咲き乱れるので「卯月」
または「卯の花月」とよばれています。
卯木の花は、古くから日本人に親しまれてきた花で
満月が卯の花を照らす光景を愛でて「卯の花月夜」と表現しました。 
気候的には暖かくなり,太陽の光に恵まれるようになった月という意味で
「正陽」「純陽」「六陽」などとも言いました。
また、旧暦の四月は夏にあたるので
「初夏」「新夏」「孟夏」などとも言われていましたが
現実感がないのでほとんど使われていません。
桜の散ったあとの余りの月ということから「余月」
桜の花のない月ということから「陰月」とも言われていました。

卯の花は晩春に白い花を咲かせますが
稲の苗や農作物の種を植えるので
植え月が“うづき”になったという説があります。
卯月は今の五月ごろで、他に乾月(けんげつ)、花残月(はなのこりづき)
夏初月(なつはづき)の別称もあります。
花残月とは、山あいにまだ桜の花が咲き残る月のことです。

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四月は春たけなわ、国中の花々の大部分が一斉に咲き乱れ、自然が華やぐとき。
陽光の明るさが増し、人のこころも活動的になります。
年度始めの月で、入学や入社や転勤など、新しい門出となる月です。
四月の陰暦月名は卯月。陰暦十二ヵ月で花の名がついた唯一の月です。
卯の花が咲く月という意味で、卯花月(うのはなづき)とも言います。

4月は卯月、卯花月、花残月、清和月、鳥月とも呼ばれます。
卯月や卯花月は卯の花が咲く頃からということでしょう。
平安時代、女性の衣の襲(かさね)にも卯の花があります。
表を白、裏が萌葱でこの色目は4月に装っていたとか。
花残月は桜が咲き残るというイメージでしょうか。
清和月というのは空が晴て清らかに暖かいことを
清和ということからの呼び名です。
晴れて清らかだけなら秋になりそうですが
暖かいが加わるとやはり春4月なのでしょう。

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●定番のあいさつ

桜花の候 春爛漫の季節を迎えました。
春のけはいがようやくととのったようで・・・
拝啓 麗春の候、お元気でお過ごしのことと存じます。
春の日差しが心地よい毎日でございますが、いかがお過ごしですか。
花便りが各地から届くこのごろですが・・
春たけなわの季節となりました。いかがお過ごしですか。
春の日差しが心地よい毎日でございますが・・・
春陽のみぎり、ますますお元気でご活躍のことと存じます。
拝啓 春爛漫の候 お変わりはありませんか。

四月の異称

卯月(うづき)utuki
余月(よげつ)
陰月(いんげつ)
卯花月(うのはなづき)
花残月(はなのこりづき)
夏初月(なつそめづき)
木葉採月(このはとりづき)
得鳥羽月(とくちょううづき)
初夏(しょか)
首夏(しゅか)
孟夏(もうか)
始夏(しか)
維夏(いか)
立夏(りっか)
麦秋(ばくしゅう)
正陽(しょうよう)
六陽(りくよう)
と、夏・陽の付くものが多くあります。

六気(ろっき)
仲呂(ちゅうろ)
純乾(じゅんかん)
乾梅(かんばい)
修景(しゅうけい)
小満(しょうまん)
と、ひどく難しいものまで合わせると、四十種近くあります。

卯月とは卯の花(空木)月の意味で、垣根に卯の花が咲く月ということ。 
夏の字の付く名が多いのは、旧暦思想では三月までが春、
四・五・六月は夏となっていたから。 
麦秋というのは、今では五月に対しても使いますが
麦が黄色に熟する収穫月の意味です。 
暦の上では夏と呼んでも、実際はまだ春です。
その一日をエイプリルフールと言って、ユーモアの日とするのも、
いよいよ春らしくなった喜びの記念でしょう。

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◎清明(せいめい)4月5日~4月19日頃 

旧暦3月の節気。 春分から15日目。
春先の清らかで生き生きとした様子を表した
「清浄明潔」という語を略したもの。

清明とは万物が若返ってすがすがしく、明るく美しくなることです。 
日本列島はさまざまの花が咲き乱れ、特に桜前線が次第に北上して
お花見シーズンの当来で、人々の心が浮き立ってきます。
南の地方では、越冬つばめが渡って来る頃でもあります。
いよいよ冬と決別して、温暖な季節となるので
旧暦時代には4月1日を衣替え(ころもがえ)の日としていました。
この日から冬の着物の綿入れを脱いで袷(あわせ)に着替えるところから
四月一日と書いて「わたぬき」という姓があるほどです。
もっとも、太陽暦の4月1日に衣替えをすると
風邪を引くおそれがありますからご注意を!
清明の節の終りから、次の穀雨の頃になればちょうど良いでしょう。

古くから中国では、清明の日に人々は郊外に出て春の風物を楽しんだり
先祖の墓参りをしました。
沖縄では「清明祭(シーミー)」といって、墓前に親族が集まり
酒・茶・お重を供えた後、皆でご馳走をいただく習慣があるそうです。 
沖縄ではお墓の前は「清明祭」をするための広いスペースが設けてあります。
ここで、お重を囲んで宴が催されるのだそうです。
気候もいい頃ですし、今ではピクニック感覚で
どのお墓もとても賑やかだとか。 

二十四節気の一つで、春分後十五日目の日を言います。
旧暦三月の節で、毎年四月四、五日頃にあたります。
「清明」の意味は清浄明潔などといって、春先の万物が
けがれもなく清らかに生き生きしているさまを表した言葉を示します。
この時期は花々の好季節で行楽に適しており、踏青(とうせい)と称して
郊外に遊歩するのに最も恵まれた季節とされています。
従ってこの頃の風物を詠んだ名詩が数多く残っています。

清明とは、二十四節気の五番目の季節で
生きとし生けるあらゆる者達が、清らかに生命を輝かせる
という意味があるそうです。草花が咲き乱れ、鳥や虫たちが舞い飛び
ポカポカと暖かな陽気に包まれる時期です。

清明のならわし

御清明祭(うしーみー)
清明が訪れると、沖縄ではご先祖様の墓(門中墓)に親戚が集まり、
花やご馳走、お酒をお供えして、それを皆でいただくならわしがあるそうです。
ご馳走とは、御三味(うさんみ)という鶏・豚・魚を蒸したもの。
地域や家族によっては三枚肉や昆布、カマボコなどを詰めた重箱料理のところも。 
泡盛やビールを飲んだり、三絃(さんしん)の音に合わせて歌ったり踊ったり、
にぎやかにご先祖をもてなすようです。 

もともと中国で、清明にご先祖の墓を掃除する習慣があり、
それが琉球に伝わって一族のお墓参りをすることに。 

穀雨

◎穀雨 (こくう)4月20日~5月5日頃 
旧暦3月の中気。

穀雨とは稲や麦などの穀物の生長を助ける雨のことで
その雨の降る頃が穀雨の時期です。
春雨が百穀を潤すことから名づけられたもので、雨で潤った田畑は
種まきの好期を迎えます。
山野は穀雨の恵みによって緑のカーペットに覆われます。
この頃の雨は穀物だけでなく、あらゆる植物の生長を助けます。
南の地方ではトンボが飛び始め
冬服やストーブとも完全に別れる季節です。
変わりやすい春の天気もこの頃から安定し日差しも強まってきます。

もともとは、秋に種をまいた麦類の生長を助ける雨のことで
麦は穂が出て実を着けるようになります。
のちに稲にも適用されるようになりました。
穀雨の節気の終り頃、八十八夜(5月2日)となります。
立春から数えて88日目のことです。
この頃、多くの地方で霜が降らなくなります。
「八十八夜の別れ霜」とはそのことを指します。

しかし、時としてこの頃に遅霜(おそじも)が降りて
農作物に被害を与えることがあります。
これを「八十八夜の毒霜」といいます。油断大敵です。
八十八夜の頃から茶摘みが始まり、香りの良い新茶が
私達の味覚を楽しませてくれます。

春の雨が百穀を潤すという意味を持つ二十四節気の一つで春の最後の節気。
日射しも次第に強くなり始め、雨で湿った田畑は
秋に収穫する穀物の種まきシーズンとなり
穀雨を目安として田畑の準備をはじめます。
暦の上では穀雨を過ぎると夏を迎えます。 

百穀春雨
この時期に降る雨は、穀物を潤し芽を出させる春雨ということで、
百穀春雨と言われているようです。 

春時雨
降ったりやんだりする春の気まぐれな雨のことです。 

菜種梅雨
菜の花の咲いている時期に降り続く雨。 

紅の雨
ツツジやシャクナゲ、桃など紅の花が咲く頃の雨です。

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◎おぼろ月【朧月】
春の月は、ボンヤリと見えて輪郭がはっきりしていないことが多いですね。
これは、昼間の霞と同じ性質の空中に浮かぶ浮遊物のせいです。 
霧・モヤ・煙霧などによって視界がさえぎられて、月がかすんで見えたり、
その周りにボンヤリとしたまるい輪が見えたりします。 

春は移動性高気圧が通過したあとに温暖前線が近づいてきますが、
そのとき、まず絹雲・絹層雲・次いで高積雲・高層雲が現れます。
この層雲は霧状だから、地上から通して見れば
太陽や月がかさをかぶって見えたり、おぼろに見えたりします。

また春は、夜間に冷え込んで地面付近の気温が下がっているところへ、
南からあたたかい風が吹いて、
上空のほうが比較的温度が高いという『気温の逆転層』を作ります。
この層の下に霧が出来やすいので、ほんのりと美しいおぼろ月が見えたりします。

◎春の土用(はるのどよう)  
立夏までの約18日間にあたる雑節の一つ。春の土用の入りは新暦4月17日頃。
土用とは「土旺用事」の略で、陰陽五行説による季節の割り振りで
四季に配当(冬:水、春:木、夏:火、秋:金)されなかった
「土」の支配する時期として
各季節の末18日ないし19日間を指すもの。
季節の変わり目にあたる。現在は夏土用のみを土用と言うことが多い。

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お花見
お花見は、日本人が古来から楽しみにしていた春の行事です。
「花見」といえば桜の花を見るために野山に出かけること。
桜以外の花を見に行くときは「梅見」「観梅」「観菊」などと
その花の名前をつけて表します。
昔から日本人にとって「桜」は特別な花でした。

奈良時代には、花といえば梅や萩などを指していましたが
平安時代の貴族たちは桜を春の花の代表格として愛で
歌を詠み、花見の宴を開いて楽しんでいました。
以来、この時季に咲き誇る花は、桜以外にも桃や菜の花など色々ありますが
日本人にとっては「花」といえば桜の花を意味するようになりました。

また、お花見は豊作祈願の行事として、農民の間でも行なわれていました。
桜は、春になって山からおりてきた田の神様が宿る木とされていたため
桜の咲き方でその年の収穫を占ったり
桜の開花期に種もみをまく準備をしたりしていました。
「サクラ」の語源には諸説ありますが、一説によると
「サクラ」の「サ」は田の神様のことを表し
「クラ」は神様の座る場所という意味があり、「サクラ」は
田の神様が山から里に降りてくるときに、いったん留まる
依代(よりしろ)を表すとされています。
また、桜の花が稲の花に見立てられ、その年の
収穫を占うこ とに使われたりしていたため、「サクラ」の代表として
桜の木が当てられるようになったという説もあります。
豊作を願って、桜のもとで田の神様を迎え、料理 や酒でもてなし
人も一緒にいただくことが本来のお花見の意味だったのです。

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江戸時代になると、春の行楽としてお花見が庶民の間にも広がり
酒を酌み交わすお花見になっていきました。
江戸時代は、園芸が盛んになった時代でもあり
桜の品種改良が進んだことで、身近な場所で
お花見が楽しめるようになったのです。
三代将軍家光が上野や隅田河畔に桜を植え、八代将軍吉宗は
飛鳥山を桜の名所にし、花見の場も増えました。これらは今でも
東京のお花見の名所になっています。

桜は古くから親しまれており、私たちの暮らしの中に深く根付いています。
春の気候や情景を表すことばにも「桜」が使われているものがたくさんあります。
古くから「花見」といえば「桜」の花を見ることを意味したように
日本人にとって桜は特別な花。ただ「花」と表されていても
桜を指すことが多いです。

桜の蕾が赤みを帯びる頃は、私たちのからだが上を向きたいと思う頃。
その溢れんばかりの力強さを少しでも感じたくて
背筋が自ずと伸びるのは私だけでしょうか。
ほころび、そして花が開きはじめると、からだも開いていく。
花を愛でれば、少し前の愁いも次第に消え、活動的になっていく。
桜の便りが北上するとともに、日本に住む人の気分も
上昇しているとしたら、とても喜ばしいことです。
gatag-00002420
文学における「花」は、平安時代以降、
「梅」から「桜」へ替わったとされています。
花曇り、花冷え、花衣、花の雲、花の雨、花の宿、花の昼…、
散った花が水に浮かぶことを、まるで筏のようだと見立て
「花筏(はないかだ)」と呼ぶ。
一床、二床と浮かぶ数少ない花筏には趣があります。
何百床、何千床ともなれば、川をうねりながら織りなし
前衛的ともいえる芸術と化すことを、ある映像から知りました。
先人たちは、日常に使う言葉に「花」を添えることで
短いひとときを十分に味わおうとしたのです。

花が散りはじめると、同時に若葉が芽吹き
葉桜としての美しさを愛でることができます。
その後、すべてが落花し、がくに残った
紅い蘂(しべ)が目立ちはじめ、そして「桜蘂降る(さくらしべふる)」。
この言葉が晩春の季語として歳時記に掲載されています。

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◎春眠
「春眠暁を覚えず」と、中国・唐の孟浩然(もうこうねん)の詩にある通り
冬から春への変わり目はとかく眠気を感じます。
植物が芽吹く春は、人の体も新陳代謝が盛んになり、エネルギー代謝に必要な
ビタミンB群が不足して眠くなるようです。
春の眠気対策に、ビタミンB群が多い菜の花(「なばな」)をサッとゆでて
お浸しや炒め物にしてみましょう。
鮮やかな色と春の香りに、体もシャキッと目覚めるでしょう。

4月の季語
春暖/陽春/春風/花曇り/花冷え・春暖の候 ・陽春のみぎり ・花冷えの頃 など

■気候や開花にまつわることば

【花冷え】
桜が咲きほこる時期に、暖かくなった気候が
一時的に冷え込むことを表します。

【花曇り】
桜が咲く時期の曇り空のこと。
渡り鳥が移動する時期なので、鳥曇りとも呼びます。

【桜流し】
春の雨で桜の花びらが落ち、流されていく様を言います。
また、桜を散らしてしまう雨のことも表します。

【桜前線】
日本各地の桜(主に染井吉野)の開花予想日の
同じ日付の場所をつないだ地図上の線。
マスコミの造語で、気象庁による正式名称は
「桜の開花の等期日線」といいます。
3月上旬に九州や西日本からスタートし、次第に北上して
5月上旬に北海道に至ります。

【花時】
花が咲く頃や盛りになる頃のこと。
特に桜が満開になる時期を指すことが多いことばです。

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■桜の花の様子をあらわすことば

【こぼれ桜】
桜の花が満開で、まるで地面にこぼれ落ちたように見える様子のこと。
また、桜の花びらを散らした模様を指します。

【花吹雪】
満開の花、特に桜の花びらが風に吹かれて舞い散る様子が
まるで雪が吹雪いているように見えることから生まれたことばです。

【花明かり】
桜の花が満開で、闇の中でも辺りをほんのりと
明るく照らしているように感じられる様子を言います。

【花筏(はないかだ)】
水面に散った花びらが筏のように流れていく様子を言います。

【花の浮橋】
水面に散った花びらが橋のように集まっている様子。

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■お花見にまつわることば

【花かがり】
夜桜を鑑賞するために焚くかがり火のこと。
京都・祇園のものが有名です。

【花疲れ】
花見をして疲れてしまうこと。
人混みや満開の花に気持ちが高ぶったことからくる疲労感のことを指します。

少し横道にそれますが「花より団子」はきれいな桜の花を見るより
花見団子を食べたほうが良いというところから
「風流を理解する心がないこと」や
「名誉よりも実利を優先する」などという意味で使われます。

日本人らしい感性にあふれた美しいことばを
会話の中でさりげなく使えると素敵ですね。

四月・卯月の暦

◆卯月(うづき)
旧暦では「卯の花(ウツギ)」が咲く頃。
卯月の「う」は「初(うい)」「産(うぶ)」で
農耕の1年の初めの月を意味したともいわれます。
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卯木(うつぎ)の花が、随所に咲き乱れるので「卯月」
または「卯の花月」とよばれています。
卯木の花は、古くから日本人に親しまれてきた花で
満月が卯の花を照らす光景を愛でて「卯の花月夜」と表現しました。 
気候的には暖かくなり,太陽の光に恵まれるようになった月という意味で
「正陽」「純陽」「六陽」などとも言いました。
また、旧暦の四月は夏にあたるので
「初夏」「新夏」「孟夏」などとも言われていましたが
現実感がないのでほとんど使われていません。
桜の散ったあとの余りの月ということから「余月」
桜の花のない月ということから「陰月」とも言われていました。

卯の花は晩春に白い花を咲かせますが
稲の苗や農作物の種を植えるので
植え月が“うづき”になったという説があります。
卯月は今の五月ごろで、他に乾月(けんげつ)、花残月(はなのこりづき)
夏初月(なつはづき)の別称もあります。
花残月とは、山あいにまだ桜の花が咲き残る月のことです。
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四月は春たけなわ、国中の花々の大部分が一斉に咲き乱れ、自然が華やぐとき。
陽光の明るさが増し、人のこころも活動的になります。
年度始めの月で、入学や入社や転勤など、新しい門出となる月です。
四月の陰暦月名は卯月。陰暦十二ヵ月で花の名がついた唯一の月です。
卯の花が咲く月という意味で、卯花月(うのはなづき)とも言います。

4月は卯月、卯花月、花残月、清和月、鳥月とも呼ばれます。
卯月や卯花月は卯の花が咲く頃からということでしょう。
平安時代、女性の衣の襲(かさね)にも卯の花があります。
表を白、裏が萌葱でこの色目は4月に装っていたとか。
花残月は桜が咲き残るというイメージでしょうか。
清和月というのは空が晴て清らかに暖かいことを
清和ということからの呼び名です。
晴れて清らかだけなら秋になりそうですが
暖かいが加わるとやはり春4月なのでしょう。
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◆四月の異称

卯月(うづき)utuki
余月(よげつ)
陰月(いんげつ)
卯花月(うのはなづき)
花残月(はなのこりづき)
夏初月(なつそめづき)
木葉採月(このはとりづき)
得鳥羽月(とくちょううづき)
初夏(しょか)
首夏(しゅか)
孟夏(もうか)
始夏(しか)
維夏(いか)
立夏(りっか)
麦秋(ばくしゅう)
正陽(しょうよう)
六陽(りくよう)
と、夏・陽の付くものが多くあります。

六気(ろっき)
仲呂(ちゅうろ)
純乾(じゅんかん)
乾梅(かんばい)
修景(しゅうけい)
小満(しょうまん)
と、ひどく難しいものまで合わせると、四十種近くあります。

卯月とは卯の花(空木)月の意味で、垣根に卯の花が咲く月ということ。 
夏の字の付く名が多いのは、旧暦思想では三月までが春、
四・五・六月は夏となっていたから。 

麦秋というのは、今では五月に対しても使いますが、
麦が黄色に熟する収穫月の意味です。 

暦の上では夏と呼んでも、実際はまだ春です。
その一日をエイプリルフールと言って、ユーモアの日とするのも、
いよいよ春らしくなった喜びの記念でしょう。
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●定番のあいさつ

桜花の候 春爛漫の季節を迎えました。

春のけはいがようやくととのったようで・・・・・・

拝啓 麗春の候、お元気でお過ごしのことと存じます。

春の日差しが心地よい毎日でございますが、いかがお過ごしですか。

花便りが各地から届くこのごろですが・・・・・

春たけなわの季節となりました。いかがお過ごしですか。

春の日差しが心地よい毎日でございますが・・・

春陽のみぎり、ますますお元気でご活躍のことと存じます。

拝啓 春爛漫の候 お変わりはありませんか。

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■気候や開花にまつわることば

【花冷え】
桜が咲きほこる時期に、暖かくなった気候が
一時的に冷え込むことを表します。

【花曇り】
桜が咲く時期の曇り空のこと。
渡り鳥が移動する時期なので、鳥曇りとも呼びます。

【桜流し】
春の雨で桜の花びらが落ち、流されていく様を言います。
また、桜を散らしてしまう雨のことも表します。

【桜前線】
日本各地の桜(主に染井吉野)の開花予想日の
同じ日付の場所をつないだ地図上の線。
マスコミの造語で、気象庁による正式名称は
「桜の開花の等期日線」といいます。
3月上旬に九州や西日本からスタートし、次第に北上して
5月上旬に北海道に至ります。

【花時】
花が咲く頃や盛りになる頃のこと。
特に桜が満開になる時期を指すことが多いことばです。

■桜の花の様子をあらわすことば

【こぼれ桜】
桜の花が満開で、まるで地面にこぼれ落ちたように見える様子のこと。
また、桜の花びらを散らした模様を指します。

【花吹雪】
満開の花、特に桜の花びらが風に吹かれて舞い散る様子が
まるで雪が吹雪いているように見えることから生まれたことばです。

【花明かり】
桜の花が満開で、闇の中でも辺りをほんのりと
明るく照らしているように感じられる様子を言います。

【花筏(はないかだ)】
水面に散った花びらが筏のように流れていく様子を言います。

【花の浮橋】
水面に散った花びらが橋のように集まっている様子。
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◎清明(せいめい)4月5日~4月19日頃 

旧暦3月の節気。 春分から15日目。
春先の清らかで生き生きとした様子を表した
「清浄明潔」という語を略したもの。

清明とは万物が若返ってすがすがしく、明るく美しくなることです。 
日本列島はさまざまの花が咲き乱れ、特に桜前線が次第に北上して
お花見シーズンの当来で、人々の心が浮き立ってきます。
南の地方では、越冬つばめが渡って来る頃でもあります。
いよいよ冬と決別して、温暖な季節となるので
旧暦時代には4月1日を衣替え(ころもがえ)の日としていました。
この日から冬の着物の綿入れを脱いで袷(あわせ)に着替えるところから
四月一日と書いて「わたぬき」という姓があるほどです。
もっとも、太陽暦の4月1日に衣替えをすると
風邪を引くおそれがありますからご注意を!
清明の節の終りから、次の穀雨の頃になればちょうど良いでしょう。

古くから中国では、清明の日に人々は郊外に出て春の風物を楽しんだり
先祖の墓参りをしました。
沖縄では「清明祭(シーミー)」といって、墓前に親族が集まり
酒・茶・お重を供えた後、皆でご馳走をいただく習慣があるそうです。 
沖縄ではお墓の前は「清明祭」をするための広いスペースが設けてあります。
ここで、お重を囲んで宴が催されるのだそうです。
気候もいい頃ですし、今ではピクニック感覚で
どのお墓もとても賑やかだとか。 

穀雨

◎穀雨 (こくう)4月20日~5月5日頃 
旧暦3月の中気。

穀雨とは稲や麦などの穀物の生長を助ける雨のことで
その雨の降る頃が穀雨の時期です。

春雨が百穀を潤すことから名づけられたもので、雨で潤った田畑は
種まきの好期を迎えます。
山野は穀雨の恵みによって緑のカーペットに覆われます。
この頃の雨は穀物だけでなく、あらゆる植物の生長を助けます。
南の地方ではトンボが飛び始め
冬服やストーブとも完全に別れる季節です。
変わりやすい春の天気もこの頃から安定し日差しも強まってきます。

もともとは、秋に種をまいた麦類の生長を助ける雨のことで
麦は穂が出て実を着けるようになります。
のちに稲にも適用されるようになりました。
穀雨の節気の終り頃、八十八夜(5月2日)となります。
立春から数えて88日目のことです。
この頃、多くの地方で霜が降らなくなります。
「八十八夜の別れ霜」とはそのことを指します。

しかし、時としてこの頃に遅霜(おそじも)が降りて
農作物に被害を与えることがあります。
これを「八十八夜の毒霜」といいます。油断大敵です。
八十八夜の頃から茶摘みが始まり、香りの良い新茶が
私達の味覚を楽しませてくれます。

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◎お花見
お花見は、日本人が古来から楽しみにしていた春の行事です。
「花見」といえば桜の花を見るために野山に出かけること。
桜以外の花を見に行くときは「梅見」「観梅」「観菊」などと
その花の名前をつけて表します。
昔から日本人にとって「桜」は特別な花でした。

奈良時代には、花といえば梅や萩などを指していましたが
平安時代の貴族たちは桜を春の花の代表格として愛で
歌を詠み、花見の宴を開いて楽しんでいました。 
以来、この時季に咲き誇る花は、桜以外にも桃や菜の花など色々ありますが
日本人にとっては「花」といえば桜の花を意味するようになりました。

また、お花見は豊作祈願の行事として、農民の間でも行なわれていました。
桜は、春になって山からおりてきた田の神様が宿る木とされていたため
桜の咲き方でその年の収穫を占ったり
桜の開花期に種もみをまく準備をしたりしていました。
「サクラ」の語源には諸説ありますが、一説によると
「サクラ」の「サ」は田の神様のことを表し
「クラ」は神様の座る場所という意味があり、「サクラ」は 
田の神様が山から里に降りてくるときに、いったん留まる
依代(よりしろ)を表すとされています。
また、桜の花が稲の花に見立てられ、その年の
収穫を占うこ とに使われたりしていたため、「サクラ」の代表として
桜の木が当てられるようになったという説もあります。
豊作を願って、桜のもとで田の神様を迎え、料理 や酒でもてなし
人も一緒にいただくことが本来のお花見の意味だったのです。

江戸時代になると、春の行楽としてお花見が庶民の間にも広がり
酒を酌み交わすお花見になっていきました。
江戸時代は、園芸が盛んになった時代でもあり
桜の品種改良が進んだことで、身近な場所で
お花見が楽しめるようになったのです。
三代将軍家光が上野や隅田河畔に桜を植え、八代将軍吉宗は
飛鳥山を桜の名所にし、花見の場も増えました。これらは今でも
東京のお花見の名所になっています。

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◎おぼろ月【朧月】
春の月は、ボンヤリと見えて輪郭がはっきりしていないことが多いですね。
これは、昼間の霞と同じ性質の空中に浮かぶ浮遊物のせいです。 
霧・モヤ・煙霧などによって視界がさえぎられて月がかすんで見えたり
その周りにボンヤリとしたまるい輪が見えたりします。 

春は移動性高気圧が通過したあとに温暖前線が近づいてきますが、
そのとき、まず絹雲・絹層雲・次いで高積雲・高層雲が現れます。
この層雲は霧状だから、地上から通して見れば
太陽や月がかさをかぶって見えたり、
おぼろに見えたりします。

また春は、夜間に冷え込んで地面付近の気温が下がっているところへ、
南からあたたかい風が吹いて、
上空のほうが比較的温度が高いという『気温の逆転層』を作ります。
この層の下に霧が出来やすいので
ほんのりと美しいおぼろ月が見えたりします。


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◎春の土用(はるのどよう)  
立夏までの約18日間にあたる雑節の一つ。春の土用の入りは新暦4月17日頃。
土用とは「土旺用事」の略で、陰陽五行説による季節の割り振りで
四季に配当(冬:水、春:木、夏:火、秋:金)されなかった
「土」の支配する時期として
各季節の末18日ないし19日間を指すもの。
季節の変わり目にあたる。現在は夏土用のみを土用と言うことが多い。

◎春眠
「春眠暁を覚えず」と、中国・唐の孟浩然(もうこうねん)の詩にある通り
冬から春への変わり目はとかく眠気を感じます。
植物が芽吹く春は、人の体も新陳代謝が盛んになり、エネルギー代謝に必要な
ビタミンB群が不足して眠くなるようです。
春の眠気対策に、ビタミンB群が多い菜の花(「なばな」)をサッとゆでて
お浸しや炒め物にしてみましょう。
鮮やかな色と春の香りに、体もシャキッと目覚めるでしょう。

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桜は古くから親しまれており、私たちの暮らしの中に深く根付いています。
春の気候や情景を表すことばにも
「桜」が使われているものがたくさんあります。
古くから「花見」といえば「桜」の花を見ることを意味したように
日本人にとって桜は特別な花。ただ「花」と表されていても
桜を指すことが多いです。

桜の蕾が赤みを帯びる頃は、私たちのからだが上を向きたいと思う頃。
その溢れんばかりの力強さを少しでも感じたくて
背筋が自ずと伸びるのは私だけでしょうか。
ほころび、そして花が開きはじめると、からだも開いていく。
花を愛でれば、少し前の愁いも次第に消え、活動的になっていく。
桜の便りが北上するとともに、日本に住む人の気分も
上昇しているとしたら、とても喜ばしいことです。

卯月四月

卯月(うづき)
旧暦では「卯の花(ウツギ)」が咲く頃。
卯月の「う」は「初(うい)」「産(うぶ)」で
農耕の1年の初めの月を意味したともいわれます。

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卯木(うつぎ)の花が、随所に咲き乱れるので「卯月」
または「卯の花月」とよばれています。
卯木の花は、古くから日本人に親しまれてきた花で
満月が卯の花を照らす光景を愛でて「卯の花月夜」と表現しました。 
気候的には暖かくなり,太陽の光に恵まれるようになった月という意味で
「正陽」「純陽」「六陽」などとも言いました。
また、旧暦の四月は夏にあたるので
「初夏」「新夏」「孟夏」などとも言われていましたが
現実感がないのでほとんど使われていません。
桜の散ったあとの余りの月ということから「余月」、
桜の花のない月ということから「陰月」とも言われていました。

四月の異称

卯月(うづき)utuki
余月(よげつ)
陰月(いんげつ)
卯花月(うのはなづき)
花残月(はなのこりづき)
夏初月(なつそめづき)
木葉採月(このはとりづき)
得鳥羽月(とくちょううづき)
初夏(しょか)
首夏(しゅか)
孟夏(もうか)
始夏(しか)
維夏(いか)
立夏(りっか)
麦秋(ばくしゅう)
正陽(しょうよう)
六陽(りくよう)
と、夏・陽の付くものが多くあります。

六気(ろっき)
仲呂(ちゅうろ)
純乾(じゅんかん)
乾梅(かんばい)
修景(しゅうけい)
小満(しょうまん)
と、ひどく難しいものまで合わせると、四十種近くあります。

卯月とは卯の花(空木)月の意味で、垣根に卯の花が咲く月ということ。 
夏の字の付く名が多いのは、旧暦思想では三月までが春、
四・五・六月は夏となっていたから。 
麦秋というのは、今では五月に対しても使いますが
麦が黄色に熟する収穫月の意味です。 

暦の上では夏と呼んでも、実際はまだ春です。
その一日をエイプリルフールと言って、ユーモアの日とするのも
いよいよ春らしくなった喜びの記念でしょう。

時候の挨拶
陽春の候  仲春の候  春和の候  桜花の候  麗春の候  花冷えの候
春暖の候  晩春の候  春たけなわのこの頃  うららかな季節を迎え
春暖いっそう覚えますこの頃  若葉萌え立つ今日この頃
ものみな春の装いとなってきました  桜の花は今を盛りと咲き誇っております

【結び】
春爛漫の折、どうぞ健やかにお過ごしください
花冷えの季節、くれぐれもご自愛ください

4月の季語
春暖/陽春/春風/花曇り/花冷え・春暖の候 ・陽春のみぎり ・花冷えの頃 など

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◎『花時』(はなどき)
花の咲く時期、花盛りの見ごろの頃。特に、桜の花の場合をさす。
それぞれの花が、美しく咲いている時期をいいます。

この季節は「桜」が美しい季節。
日本の国花でもある桜は、全国各地を彩るだけでなく
歌に詠まれたり、絵画や文様のモチーフとしても広く親しまれています。
平安の昔より「花」と詠まれれば「桜」を意味するほど特別な存在だったように
日本語には桜にまつわる美しい言葉がたくさんあります。

~さまざまの事思ひ出す桜かな~  (松尾芭蕉)

◎桜のいろいろ
幸福なことを「幸い(さいわい)」と言いますが、その古語は「さきはひ」。
「咲く」の名詞形の「さき」と、ある状態が長く続くことをあらわす
「はひ("気配""味わい"などの"はひ")」という言葉が
つながってできた言葉だそうです。
つまり、「さきはひ」は「花盛りが長く続く」という意味。
古代の日本人は、心の中に花が咲きあふれているような状態を
幸せと感じたのでしょう。
現代の私たちが満開の桜を見て幸福感を味わうのは
そんな遠い記憶によるものかもしれません。

その一方で、あだ桜、こぼれ桜、落ち桜、葉桜......と
折々の桜の姿をとらえて美しい名前が付けられてもいます。
それはきっと、これまで多くの人が桜のさまざまな表情を愛してきたという証し。
盛りの時ばかりでなく、散りゆく姿までを味わい慈しんできた
日本人の細やかな感性を思うとき、ちょっと誇らしい気もしてきます。 

夜桜
千年の昔から桜の美しさは、日本人の心に深く根づいています。
ですが、春のまばゆい日差しで華やかに咲き誇る桜とは別に
もうひとつの顔があります。
それは月明かりやボンボリの灯りに照らされた夜桜です。
近頃では人工的にライトアップされた夜桜も多く見られようになりました。
昼間と違い、闇に浮かび上がる姿は
不思議な妖しさをたたえて、人々を魅了します。

夜桜名所として日本三大夜桜と言われるのが
青森県の弘前公園、東京都の上野恩賜公園、新潟県の高田公園です。
弘前公園は、白亜の天守閣と堀りに散った花びらが美しく浮かび上がり
五千本の桜が昼間とは別に華やかな濃厚感に包まれます。

上野恩賜公園は、二千五百本のボンボリが吊され
夜桜は混雑ぶりの方が話題になるほどですが
ここでは不忍池周辺がお勧め。
こちらは賑わい少なく、池周辺に桜並木が続き、夜空が近く見え
都会とは思えない穴場的な夜桜見物が楽しめます。

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清明(せいめい)
二十四節気の一つで、春分後十五日目の日を言います。
旧暦三月の節で、毎年四月四、五日頃にあたります。
「清明」の意味は清浄明潔などといって、春先の万物が
けがれもなく清らかに生き生きしているさまを表した言葉を示します。
この時期は花々の好季節で行楽に適しており、踏青(とうせい)と称して
郊外に遊歩するのに最も恵まれた季節とされています。
従ってこの頃の風物を詠んだ名詩が数多く残っています。

穀雨(こくう)
4月20日頃(2017年は4月20日)。
および立夏までの期間。太陽黄径30度
清明から数えて15日目頃。春季の最後の節気。

春雨が百穀を潤すことから名づけられたもので
雨で潤った田畑は種まきの好期を迎えます。
この時季に、特に雨が多いというわけではありませんが
穀雨以降、降雨量が多くなり始めます。
「清明になると雪が降らなくなり、穀雨になると霜が降りることもなくなる」
という言葉があるように、南の地方ではトンボが飛び始め
冬服やストーブとも完全に別れる季節です。
変わりやすい春の天気もこの頃から安定し、日差しも強まってきます。
昔から、この日に合わせて田畑の準備をします。
穀雨が終わる頃に八十八夜を迎えます。

春の土用(はるのどよう)  
立夏までの約18日間にあたる雑節の一つ。春の土用の入りは新暦4月17日頃。
土用とは「土旺用事」の略で、陰陽五行説による季節の割り振りで
四季に配当(冬:水、春:木、夏:火、秋:金)されなかった「土」の支配する時期として
各季節の末18日ないし19日間を指すもの。
季節の変わり目にあたる。現在は夏土用のみを土用と言うことが多い。

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おぼろ月  【朧月】と書きます。
春の月は、ボンヤリと見えて輪郭がはっきりしていないことが多いですね。
これは、昼間の霞と同じ性質の空中に浮かぶ浮遊物のせいです。 
霧・モヤ・煙霧などによって視界がさえぎられて、月がかすんで見えたり、
その周りにボンヤリとしたまるい輪が見えたりします。 

春は移動性高気圧が通過したあとに温暖前線が近づいてきますが、
そのとき、まず絹雲・絹層雲・次いで高積雲・高層雲が現れます。
この層雲は霧状だから、地上から通して見れば、太陽や月がかさをかぶって見えたり、
おぼろに見えたりします。
また春は、夜間に冷え込んで地面付近の気温が下がっているところへ、
南からあたたかい風が吹いて、
上空のほうが比較的温度が高いという『気温の逆転層』を作ります。
この層の下に霧が出来やすいので、ほんのりと美しいおぼろ月が見えたりします。

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入学式・入社式
【入学式】や【入社式】は四月の代表的な行事です。
でも近代教育制度が始まった明治初期は
欧米の制度を取り入れていたので、九月に行われていたようです。
その後、国の会計年度が四月始まりになり、それに合わせて入学式や入社式も
年度初めの四月に行われるようになったとか。 

ランドセルの歴史
【ランドセル】はオランダ語の「ランセル」
“背負うカバン”を意味する言葉に由来します。
1885年に学習院で通学用カバンとして使われはじめ
その二年後に当時の内閣総理大臣伊藤博文が皇太子殿下【大正天皇】の
学習院初等科入学のお祝いに、箱型ランドセルを献上したのが
国産ランドセル第一号! 

学ランとセーラー
学生が切る「ランダ」だから【学ラン】。
ランダは江戸時代、「洋服」の隠語でした。
セーラー服はもとはイギリス海軍の征服です。
独特の三角形の衿は、海風に声がかき消されないように
立てて号令を聞くためのデザインです。 

入社式は日本独自の行事
新入社員を迎える【入社式】。
これは学校を卒業した新卒をまとめて採用する、日本独自の行事です。
欧米では四月の一斉入社はないので、入社式を行う習慣もないようです。

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気候や開花にまつわることば

【花冷え】
桜が咲きほこる時期に、暖かくなった気候が
一時的に冷え込むことを表します。

【花曇り】
桜が咲く時期の曇り空のこと。
渡り鳥が移動する時期なので、鳥曇りとも呼びます。

【桜流し】
春の雨で桜の花びらが落ち、流されていく様を言います。
また、桜を散らしてしまう雨のことも表します。

【桜前線】
日本各地の桜(主に染井吉野)の開花予想日の
同じ日付の場所をつないだ地図上の線。
マスコミの造語で、気象庁による正式名称は
「桜の開花の等期日線」といいます。
3月上旬に九州や西日本からスタートし、次第に北上して
5月上旬に北海道に至ります。

【花時】
花が咲く頃や盛りになる頃のこと。
特に桜が満開になる時期を指すことが多いことばです。

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桜の花の様子をあらわすことば

【こぼれ桜】
桜の花が満開で、まるで地面にこぼれ落ちたように見える様子のこと。
また、桜の花びらを散らした模様を指します。

【花吹雪】
満開の花、特に桜の花びらが風に吹かれて舞い散る様子が
まるで雪が吹雪いているように見えることから生まれたことばです。

【花明かり】
桜の花が満開で、闇の中でも辺りをほんのりと
明るく照らしているように感じられる様子を言います。

【花筏(はないかだ)】
水面に散った花びらが筏のように流れていく様子を言います。

【花の浮橋】
水面に散った花びらが橋のように集まっている様子。

四月 卯月

◆卯月(うづき)
旧暦では「卯の花(ウツギ)」が咲く頃。
卯月の「う」は「初(うい)」「産(うぶ)」で
農耕の1年の初めの月を意味したともいわれます。

800540-1920

卯木(うつぎ)の花が、随所に咲き乱れるので「卯月」
または「卯の花月」とよばれています。
卯木の花は、古くから日本人に親しまれてきた花で
満月が卯の花を照らす光景を愛でて「卯の花月夜」と表現しました。 
気候的には暖かくなり,太陽の光に恵まれるようになった月という意味で
「正陽」「純陽」「六陽」などとも言いました。
また、旧暦の四月は夏にあたるので
「初夏」「新夏」「孟夏」などとも言われていましたが
現実感がないのでほとんど使われていません。
桜の散ったあとの余りの月ということから「余月」
桜の花のない月ということから「陰月」とも言われていました。

卯の花は晩春に白い花を咲かせますが
稲の苗や農作物の種を植えるので
植え月が“うづき”になったという説があります。
卯月は今の五月ごろで、他に乾月(けんげつ)、花残月(はなのこりづき)
夏初月(なつはづき)の別称もあります。
花残月とは、山あいにまだ桜の花が咲き残る月のことです。

69765879

四月は春たけなわ、国中の花々の大部分が一斉に咲き乱れ、自然が華やぐとき。
陽光の明るさが増し、人のこころも活動的になります。
年度始めの月で、入学や入社や転勤など、新しい門出となる月です。
四月の陰暦月名は卯月。陰暦十二ヵ月で花の名がついた唯一の月です。
卯の花が咲く月という意味で、卯花月(うのはなづき)とも言います。

4月は卯月、卯花月、花残月、清和月、鳥月とも呼ばれます。
卯月や卯花月は卯の花が咲く頃からということでしょう。
平安時代、女性の衣の襲(かさね)にも卯の花があります。
表を白、裏が萌葱でこの色目は4月に装っていたとか。
花残月は桜が咲き残るというイメージでしょうか。
清和月というのは空が晴て清らかに暖かいことを
清和ということからの呼び名です。
晴れて清らかだけなら秋になりそうですが
暖かいが加わるとやはり春4月なのでしょう。

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◆四月の異称

卯月(うづき)utuki
余月(よげつ)
陰月(いんげつ)
卯花月(うのはなづき)
花残月(はなのこりづき)
夏初月(なつそめづき)
木葉採月(このはとりづき)
得鳥羽月(とくちょううづき)
初夏(しょか)
首夏(しゅか)
孟夏(もうか)
始夏(しか)
維夏(いか)
立夏(りっか)
麦秋(ばくしゅう)
正陽(しょうよう)
六陽(りくよう)
と、夏・陽の付くものが多くあります。

六気(ろっき)
仲呂(ちゅうろ)
純乾(じゅんかん)
乾梅(かんばい)
修景(しゅうけい)
小満(しょうまん)
と、ひどく難しいものまで合わせると、四十種近くあります。

卯月とは卯の花(空木)月の意味で、垣根に卯の花が咲く月ということ。 
夏の字の付く名が多いのは、旧暦思想では三月までが春、
四・五・六月は夏となっていたから。 

麦秋というのは、今では五月に対しても使いますが、
麦が黄色に熟する収穫月の意味です。 

暦の上では夏と呼んでも、実際はまだ春です。
その一日をエイプリルフールと言って、ユーモアの日とするのも、
いよいよ春らしくなった喜びの記念でしょう。

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●定番のあいさつ

桜花の候 春爛漫の季節を迎えました。

春のけはいがようやくととのったようで・・・・・・

拝啓 麗春の候、お元気でお過ごしのことと存じます。

春の日差しが心地よい毎日でございますが、いかがお過ごしですか。

花便りが各地から届くこのごろですが・・・・・

春たけなわの季節となりました。いかがお過ごしですか。

春の日差しが心地よい毎日でございますが・・・

春陽のみぎり、ますますお元気でご活躍のことと存じます。

拝啓 春爛漫の候 お変わりはありませんか。

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■気候や開花にまつわることば

【花冷え】
桜が咲きほこる時期に、暖かくなった気候が
一時的に冷え込むことを表します。

【花曇り】
桜が咲く時期の曇り空のこと。
渡り鳥が移動する時期なので、鳥曇りとも呼びます。

【桜流し】
春の雨で桜の花びらが落ち、流されていく様を言います。
また、桜を散らしてしまう雨のことも表します。

【桜前線】
日本各地の桜(主に染井吉野)の開花予想日の
同じ日付の場所をつないだ地図上の線。
マスコミの造語で、気象庁による正式名称は
「桜の開花の等期日線」といいます。
3月上旬に九州や西日本からスタートし、次第に北上して
5月上旬に北海道に至ります。

【花時】
花が咲く頃や盛りになる頃のこと。
特に桜が満開になる時期を指すことが多いことばです。

■桜の花の様子をあらわすことば

【こぼれ桜】
桜の花が満開で、まるで地面にこぼれ落ちたように見える様子のこと。
また、桜の花びらを散らした模様を指します。

【花吹雪】
満開の花、特に桜の花びらが風に吹かれて舞い散る様子が
まるで雪が吹雪いているように見えることから生まれたことばです。

【花明かり】
桜の花が満開で、闇の中でも辺りをほんのりと
明るく照らしているように感じられる様子を言います。

【花筏(はないかだ)】
水面に散った花びらが筏のように流れていく様子を言います。

【花の浮橋】
水面に散った花びらが橋のように集まっている様子。
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◎清明(せいめい)4月5日~4月19日頃 

旧暦3月の節気。 春分から15日目。
春先の清らかで生き生きとした様子を表した
「清浄明潔」という語を略したもの。

清明とは万物が若返ってすがすがしく、明るく美しくなることです。 
日本列島はさまざまの花が咲き乱れ、特に桜前線が次第に北上して
お花見シーズンの当来で、人々の心が浮き立ってきます。
南の地方では、越冬つばめが渡って来る頃でもあります。
いよいよ冬と決別して、温暖な季節となるので
旧暦時代には4月1日を衣替え(ころもがえ)の日としていました。
この日から冬の着物の綿入れを脱いで袷(あわせ)に着替えるところから
四月一日と書いて「わたぬき」という姓があるほどです。
もっとも、太陽暦の4月1日に衣替えをすると
風邪を引くおそれがありますからご注意を!
清明の節の終りから、次の穀雨の頃になればちょうど良いでしょう。

古くから中国では、清明の日に人々は郊外に出て春の風物を楽しんだり
先祖の墓参りをしました。
沖縄では「清明祭(シーミー)」といって、墓前に親族が集まり
酒・茶・お重を供えた後、皆でご馳走をいただく習慣があるそうです。 
沖縄ではお墓の前は「清明祭」をするための広いスペースが設けてあります。
ここで、お重を囲んで宴が催されるのだそうです。
気候もいい頃ですし、今ではピクニック感覚で
どのお墓もとても賑やかだとか。 

穀雨

◎穀雨 (こくう)4月20日~5月5日頃 
旧暦3月の中気。

穀雨とは稲や麦などの穀物の生長を助ける雨のことで
その雨の降る頃が穀雨の時期です。

春雨が百穀を潤すことから名づけられたもので、雨で潤った田畑は
種まきの好期を迎えます。
山野は穀雨の恵みによって緑のカーペットに覆われます。
この頃の雨は穀物だけでなく、あらゆる植物の生長を助けます。
南の地方ではトンボが飛び始め
冬服やストーブとも完全に別れる季節です。
変わりやすい春の天気もこの頃から安定し日差しも強まってきます。

もともとは、秋に種をまいた麦類の生長を助ける雨のことで
麦は穂が出て実を着けるようになります。
のちに稲にも適用されるようになりました。
穀雨の節気の終り頃、八十八夜(5月2日)となります。
立春から数えて88日目のことです。
この頃、多くの地方で霜が降らなくなります。
「八十八夜の別れ霜」とはそのことを指します。

しかし、時としてこの頃に遅霜(おそじも)が降りて
農作物に被害を与えることがあります。
これを「八十八夜の毒霜」といいます。油断大敵です。
八十八夜の頃から茶摘みが始まり、香りの良い新茶が
私達の味覚を楽しませてくれます。

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◎お花見
お花見は、日本人が古来から楽しみにしていた春の行事です。
「花見」といえば桜の花を見るために野山に出かけること。
桜以外の花を見に行くときは「梅見」「観梅」「観菊」などと
その花の名前をつけて表します。
昔から日本人にとって「桜」は特別な花でした。

奈良時代には、花といえば梅や萩などを指していましたが
平安時代の貴族たちは桜を春の花の代表格として愛で
歌を詠み、花見の宴を開いて楽しんでいました。 
以来、この時季に咲き誇る花は、桜以外にも桃や菜の花など色々ありますが
日本人にとっては「花」といえば桜の花を意味するようになりました。

また、お花見は豊作祈願の行事として、農民の間でも行なわれていました。
桜は、春になって山からおりてきた田の神様が宿る木とされていたため
桜の咲き方でその年の収穫を占ったり
桜の開花期に種もみをまく準備をしたりしていました。
「サクラ」の語源には諸説ありますが、一説によると
「サクラ」の「サ」は田の神様のことを表し
「クラ」は神様の座る場所という意味があり、「サクラ」は 
田の神様が山から里に降りてくるときに、いったん留まる
依代(よりしろ)を表すとされています。
また、桜の花が稲の花に見立てられ、その年の
収穫を占うこ とに使われたりしていたため、「サクラ」の代表として
桜の木が当てられるようになったという説もあります。
豊作を願って、桜のもとで田の神様を迎え、料理 や酒でもてなし
人も一緒にいただくことが本来のお花見の意味だったのです。

江戸時代になると、春の行楽としてお花見が庶民の間にも広がり
酒を酌み交わすお花見になっていきました。
江戸時代は、園芸が盛んになった時代でもあり
桜の品種改良が進んだことで、身近な場所で
お花見が楽しめるようになったのです。
三代将軍家光が上野や隅田河畔に桜を植え、八代将軍吉宗は
飛鳥山を桜の名所にし、花見の場も増えました。これらは今でも
東京のお花見の名所になっています。

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◎おぼろ月【朧月】
春の月は、ボンヤリと見えて輪郭がはっきりしていないことが多いですね。
これは、昼間の霞と同じ性質の空中に浮かぶ浮遊物のせいです。 
霧・モヤ・煙霧などによって視界がさえぎられて月がかすんで見えたり
その周りにボンヤリとしたまるい輪が見えたりします。 

春は移動性高気圧が通過したあとに温暖前線が近づいてきますが、
そのとき、まず絹雲・絹層雲・次いで高積雲・高層雲が現れます。
この層雲は霧状だから、地上から通して見れば
太陽や月がかさをかぶって見えたり、
おぼろに見えたりします。

また春は、夜間に冷え込んで地面付近の気温が下がっているところへ、
南からあたたかい風が吹いて、
上空のほうが比較的温度が高いという『気温の逆転層』を作ります。
この層の下に霧が出来やすいので
ほんのりと美しいおぼろ月が見えたりします。


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◎春の土用(はるのどよう)  
立夏までの約18日間にあたる雑節の一つ。春の土用の入りは新暦4月17日頃。
土用とは「土旺用事」の略で、陰陽五行説による季節の割り振りで
四季に配当(冬:水、春:木、夏:火、秋:金)されなかった
「土」の支配する時期として
各季節の末18日ないし19日間を指すもの。
季節の変わり目にあたる。現在は夏土用のみを土用と言うことが多い。

◎春眠
「春眠暁を覚えず」と、中国・唐の孟浩然(もうこうねん)の詩にある通り
冬から春への変わり目はとかく眠気を感じます。
植物が芽吹く春は、人の体も新陳代謝が盛んになり、エネルギー代謝に必要な
ビタミンB群が不足して眠くなるようです。
春の眠気対策に、ビタミンB群が多い菜の花(「なばな」)をサッとゆでて
お浸しや炒め物にしてみましょう。
鮮やかな色と春の香りに、体もシャキッと目覚めるでしょう。

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桜は古くから親しまれており、私たちの暮らしの中に深く根付いています。
春の気候や情景を表すことばにも
「桜」が使われているものがたくさんあります。
古くから「花見」といえば「桜」の花を見ることを意味したように
日本人にとって桜は特別な花。ただ「花」と表されていても
桜を指すことが多いです。

桜の蕾が赤みを帯びる頃は、私たちのからだが上を向きたいと思う頃。
その溢れんばかりの力強さを少しでも感じたくて
背筋が自ずと伸びるのは私だけでしょうか。
ほころび、そして花が開きはじめると、からだも開いていく。
花を愛でれば、少し前の愁いも次第に消え、活動的になっていく。
桜の便りが北上するとともに、日本に住む人の気分も
上昇しているとしたら、とても喜ばしいことです。

卯月4月・花時

卯月(うづき)
旧暦では「卯の花(ウツギ)」が咲く頃。
卯月の「う」は「初(うい)」「産(うぶ)」で
農耕の1年の初めの月を意味したともいわれます。

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卯木(うつぎ)の花が、随所に咲き乱れるので「卯月」
または「卯の花月」とよばれています。
卯木の花は、古くから日本人に親しまれてきた花で
満月が卯の花を照らす光景を愛でて「卯の花月夜」と表現しました。 
気候的には暖かくなり,太陽の光に恵まれるようになった月という意味で
「正陽」「純陽」「六陽」などとも言いました。
また、旧暦の四月は夏にあたるので
「初夏」「新夏」「孟夏」などとも言われていましたが
現実感がないのでほとんど使われていません。
桜の散ったあとの余りの月ということから「余月」、
桜の花のない月ということから「陰月」とも言われていました。

四月の異称

卯月(うづき)utuki
余月(よげつ)
陰月(いんげつ)
卯花月(うのはなづき)
花残月(はなのこりづき)
夏初月(なつそめづき)
木葉採月(このはとりづき)
得鳥羽月(とくちょううづき)
初夏(しょか)
首夏(しゅか)
孟夏(もうか)
始夏(しか)
維夏(いか)
立夏(りっか)
麦秋(ばくしゅう)
正陽(しょうよう)
六陽(りくよう)
と、夏・陽の付くものが多くあります。

六気(ろっき)
仲呂(ちゅうろ)
純乾(じゅんかん)
乾梅(かんばい)
修景(しゅうけい)
小満(しょうまん)
と、ひどく難しいものまで合わせると、四十種近くあります。

卯月とは卯の花(空木)月の意味で、垣根に卯の花が咲く月ということ。 
夏の字の付く名が多いのは、旧暦思想では三月までが春、
四・五・六月は夏となっていたから。 
麦秋というのは、今では五月に対しても使いますが
麦が黄色に熟する収穫月の意味です。 

暦の上では夏と呼んでも、実際はまだ春です。
その一日をエイプリルフールと言って、ユーモアの日とするのも
いよいよ春らしくなった喜びの記念でしょう。

時候の挨拶
陽春の候  仲春の候  春和の候  桜花の候  麗春の候  花冷えの候
春暖の候  晩春の候  春たけなわのこの頃  うららかな季節を迎え
春暖いっそう覚えますこの頃  若葉萌え立つ今日この頃
ものみな春の装いとなってきました  桜の花は今を盛りと咲き誇っております

【結び】
春爛漫の折、どうぞ健やかにお過ごしください
花冷えの季節、くれぐれもご自愛ください

4月の季語
春暖/陽春/春風/花曇り/花冷え・春暖の候 ・陽春のみぎり ・花冷えの頃 など

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◎『花時』(はなどき)
花の咲く時期、花盛りの見ごろの頃。特に、桜の花の場合をさす。
それぞれの花が、美しく咲いている時期をいいます。

この季節は「桜」が美しい季節。
日本の国花でもある桜は、全国各地を彩るだけでなく
歌に詠まれたり、絵画や文様のモチーフとしても広く親しまれています。
平安の昔より「花」と詠まれれば「桜」を意味するほど特別な存在だったように
日本語には桜にまつわる美しい言葉がたくさんあります。

~さまざまの事思ひ出す桜かな~  (松尾芭蕉)

◎桜のいろいろ
幸福なことを「幸い(さいわい)」と言いますが、その古語は「さきはひ」。
「咲く」の名詞形の「さき」と、ある状態が長く続くことをあらわす
「はひ("気配""味わい"などの"はひ")」という言葉が
つながってできた言葉だそうです。
つまり、「さきはひ」は「花盛りが長く続く」という意味。
古代の日本人は、心の中に花が咲きあふれているような状態を
幸せと感じたのでしょう。
現代の私たちが満開の桜を見て幸福感を味わうのは
そんな遠い記憶によるものかもしれません。

その一方で、あだ桜、こぼれ桜、落ち桜、葉桜......と
折々の桜の姿をとらえて美しい名前が付けられてもいます。
それはきっと、これまで多くの人が桜のさまざまな表情を愛してきたという証し。
盛りの時ばかりでなく、散りゆく姿までを味わい慈しんできた
日本人の細やかな感性を思うとき、ちょっと誇らしい気もしてきます。 

夜桜
千年の昔から桜の美しさは、日本人の心に深く根づいています。
ですが、春のまばゆい日差しで華やかに咲き誇る桜とは別に
もうひとつの顔があります。
それは月明かりやボンボリの灯りに照らされた夜桜です。
近頃では人工的にライトアップされた夜桜も多く見られようになりました。
昼間と違い、闇に浮かび上がる姿は
不思議な妖しさをたたえて、人々を魅了します。

夜桜名所として日本三大夜桜と言われるのが
青森県の弘前公園、東京都の上野恩賜公園、新潟県の高田公園です。
弘前公園は、白亜の天守閣と堀りに散った花びらが美しく浮かび上がり
五千本の桜が昼間とは別に華やかな濃厚感に包まれます。

上野恩賜公園は、二千五百本のボンボリが吊され
夜桜は混雑ぶりの方が話題になるほどですが
ここでは不忍池周辺がお勧め。
こちらは賑わい少なく、池周辺に桜並木が続き、夜空が近く見え
都会とは思えない穴場的な夜桜見物が楽しめます。

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清明(せいめい)
二十四節気の一つで、春分後十五日目の日を言います。
旧暦三月の節で、毎年四月四、五日頃にあたります。
「清明」の意味は清浄明潔などといって、春先の万物が
けがれもなく清らかに生き生きしているさまを表した言葉を示します。
この時期は花々の好季節で行楽に適しており、踏青(とうせい)と称して
郊外に遊歩するのに最も恵まれた季節とされています。
従ってこの頃の風物を詠んだ名詩が数多く残っています。

穀雨(こくう)
4月20日頃(2017年は4月20日)。
および立夏までの期間。太陽黄径30度
清明から数えて15日目頃。春季の最後の節気。

春雨が百穀を潤すことから名づけられたもので
雨で潤った田畑は種まきの好期を迎えます。
この時季に、特に雨が多いというわけではありませんが
穀雨以降、降雨量が多くなり始めます。
「清明になると雪が降らなくなり、穀雨になると霜が降りることもなくなる」
という言葉があるように、南の地方ではトンボが飛び始め
冬服やストーブとも完全に別れる季節です。
変わりやすい春の天気もこの頃から安定し、日差しも強まってきます。
昔から、この日に合わせて田畑の準備をします。
穀雨が終わる頃に八十八夜を迎えます。

春の土用(はるのどよう)  
立夏までの約18日間にあたる雑節の一つ。春の土用の入りは新暦4月17日頃。
土用とは「土旺用事」の略で、陰陽五行説による季節の割り振りで
四季に配当(冬:水、春:木、夏:火、秋:金)されなかった「土」の支配する時期として
各季節の末18日ないし19日間を指すもの。
季節の変わり目にあたる。現在は夏土用のみを土用と言うことが多い。

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おぼろ月  【朧月】と書きます。
春の月は、ボンヤリと見えて輪郭がはっきりしていないことが多いですね。
これは、昼間の霞と同じ性質の空中に浮かぶ浮遊物のせいです。 
霧・モヤ・煙霧などによって視界がさえぎられて、月がかすんで見えたり、
その周りにボンヤリとしたまるい輪が見えたりします。 

春は移動性高気圧が通過したあとに温暖前線が近づいてきますが、
そのとき、まず絹雲・絹層雲・次いで高積雲・高層雲が現れます。
この層雲は霧状だから、地上から通して見れば、太陽や月がかさをかぶって見えたり、
おぼろに見えたりします。
また春は、夜間に冷え込んで地面付近の気温が下がっているところへ、
南からあたたかい風が吹いて、
上空のほうが比較的温度が高いという『気温の逆転層』を作ります。
この層の下に霧が出来やすいので、ほんのりと美しいおぼろ月が見えたりします。

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入学式・入社式
【入学式】や【入社式】は四月の代表的な行事です。
でも近代教育制度が始まった明治初期は
欧米の制度を取り入れていたので、九月に行われていたようです。
その後、国の会計年度が四月始まりになり、それに合わせて入学式や入社式も
年度初めの四月に行われるようになったとか。 

ランドセルの歴史
【ランドセル】はオランダ語の「ランセル」
“背負うカバン”を意味する言葉に由来します。
1885年に学習院で通学用カバンとして使われはじめ
その二年後に当時の内閣総理大臣伊藤博文が皇太子殿下【大正天皇】の
学習院初等科入学のお祝いに、箱型ランドセルを献上したのが
国産ランドセル第一号! 

学ランとセーラー
学生が切る「ランダ」だから【学ラン】。
ランダは江戸時代、「洋服」の隠語でした。
セーラー服はもとはイギリス海軍の征服です。
独特の三角形の衿は、海風に声がかき消されないように
立てて号令を聞くためのデザインです。 

入社式は日本独自の行事
新入社員を迎える【入社式】。
これは学校を卒業した新卒をまとめて採用する、日本独自の行事です。
欧米では四月の一斉入社はないので、入社式を行う習慣もないようです。

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気候や開花にまつわることば

【花冷え】
桜が咲きほこる時期に、暖かくなった気候が
一時的に冷え込むことを表します。

【花曇り】
桜が咲く時期の曇り空のこと。
渡り鳥が移動する時期なので、鳥曇りとも呼びます。

【桜流し】
春の雨で桜の花びらが落ち、流されていく様を言います。
また、桜を散らしてしまう雨のことも表します。

【桜前線】
日本各地の桜(主に染井吉野)の開花予想日の
同じ日付の場所をつないだ地図上の線。
マスコミの造語で、気象庁による正式名称は
「桜の開花の等期日線」といいます。
3月上旬に九州や西日本からスタートし、次第に北上して
5月上旬に北海道に至ります。

【花時】
花が咲く頃や盛りになる頃のこと。
特に桜が満開になる時期を指すことが多いことばです。

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桜の花の様子をあらわすことば

【こぼれ桜】
桜の花が満開で、まるで地面にこぼれ落ちたように見える様子のこと。
また、桜の花びらを散らした模様を指します。

【花吹雪】
満開の花、特に桜の花びらが風に吹かれて舞い散る様子が
まるで雪が吹雪いているように見えることから生まれたことばです。

【花明かり】
桜の花が満開で、闇の中でも辺りをほんのりと
明るく照らしているように感じられる様子を言います。

【花筏(はないかだ)】
水面に散った花びらが筏のように流れていく様子を言います。

【花の浮橋】
水面に散った花びらが橋のように集まっている様子。


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