◆初空(はつぞら) 新年
元日の朝の空。新年の初々しい心で見あげる空は、清らかにして荘厳。
元日の晴れ渡った空は瑞兆として、雨や雪も豊穣の瑞兆として
それぞれに喜ばれた。
●初空月【はつそらづき】
陰暦一月の異名。年が改まって、初空が見える月。
元日の空のことを「初空」といいます。
初日の出を拝まなくても「初空」を眺める人なら多いのではないでしょうか。
人は未来に思いを馳(は)せるとき、遠く彼方(かなた)に目をやるもの。
これから始まる一年を思いやり、自然と空を仰ぐ人が増えることと思います。
1月が、『初空月』と呼ばれるようになったのは
そんな理由もあってのことかもしれません。
正月の空の色はひときわ美しく見えます。
「初」という文字を冠して、眺めるからでしょうか。
空だけではありません。
年が明けて初めて見るもの、聞くもの、すること…
どんなものにでも「初」をつけることができるといってもいいくらいです。
昨日までと、突然何かが変わるわけではないのですが…。
新年を迎えた瞬間、そうやって私たちは心をリセットしてきました。
初心を忘れないために新鮮な気持ちで見なれた風景を見つめ直すために。
そして何よりもより多くの思い出を容れるためのスペースを空けておくために。
これから始まる一年を思いやり、自然と空を仰ぐ人が増えることと思います。
1月が『初空月』と呼ばれるようになったのは
そんな理由もあってのことかもしれません。
●初明り
初夜明とも。元日の明け方、山陰や森の陰などから差しそめる曙光を言います。
元日の朝、東天がほのぼのと明るくなること。また、さしてくる明け方の光。
[季]新年。
元日の日の出前に見られるほのかな光のこと。
その光はだんだんと空を朝の色にします。
初日の出は、太陽が顔を出したときにクライマックスとなりますが
初明りは、その前のほのかな明かりさえ味わうという美しい季語。
■睦月
親族が互いに往来し仲睦まじく宴をする月であるからといわれています。
また、稲の実を初めて水に浸す月を指す「実月(むつき)」から
転じたという説もあります。
季節:晩冬(ばんとう) ※小寒から立春の前日まで。
●初詣(はつもうで)
新年になつて神社・仏閣にお参りすることである。
伊勢に初詣を志す人達は大晦日の夜から出かけることが多い。
元旦、拝殿に額けば霊験総身に沁み徹る。
「なみなみと給はる新酒や初詣」 なみ女
「神慮いま鳩をたたしむ初詣」 虚子
●年賀(ねんが)
元日より三ヶ日、親戚・知人・朋友等を相互に訪問し新年のが賀辞を述べることをいう。
年始。年禮(ねんれい)。廻禮(くわいれい)。
「年禮の城をめぐりて暮れにけり」 虚子
●賀状(がじょう)
年賀状のこと。
年に一度の便りの年賀状もあり、元日早々之を受取るのは楽しいものである。
「新妻の友の賀状もちらほらと」 播水
「叔父ぞとも見らるる叔母の年賀状」 虚城
●雑煮(ぞうに)
「貞丈雑記」に雑煮の本名をほうぞうというとある。
臓腑を保養する意である。三ヶ日毎朝餅を羹にして神佛に供へ
一家挙つてこれを食うべて年を祝う。
海山さまざまのものを投じて食べるので雑煮という。
「長病の今年も参る雑煮かな」 子規
「一学系を率いて食う雑煮かな」 虚子
●初夢(はつゆめ)
二日の夜から三日の暁にかけて見る夢。その年の吉凶を占う。
宝船・獏の礼札を枕の下に敷寝して吉夢を得ようとし
もし悪夢を見たときは之を水に流す。
地方または時代によって、節分の夜から立春の暁に至る夢をさすとの説もあるが
現在では一般に一日の夜から二日の朝にかけて見る夢をいっている。
「初夢に故郷を見て涙かな」 一茶
「初夢の唯空白を存したり」 虚子
●初詣(はつもうで)
新年になつて神社・仏閣にお参りすることである。
伊勢に初詣を志す人達は大晦日の夜から出かけることが多い。
元旦、拝殿に額けば霊験総身に沁み徹る。
「なみなみと給はる新酒や初詣」 なみ女
「神慮いま鳩をたたしむ初詣」 虚子
●年賀(ねんが)
元日より三ヶ日、親戚・知人・朋友等を相互に訪問し新年のが賀辞を述べることをいう。
年始。年禮(ねんれい)。廻禮(くわいれい)。
「年禮の城をめぐりて暮れにけり」 虚子
●賀状(がじょう)
年賀状のこと。
年に一度の便りの年賀状もあり、元日早々之を受取るのは楽しいものである。
「新妻の友の賀状もちらほらと」 播水
「叔父ぞとも見らるる叔母の年賀状」 虚城
●雑煮(ぞうに)
「貞丈雑記」に雑煮の本名をほうぞうというとある。
臓腑を保養する意である。三ヶ日毎朝餅を羹にして神佛に供へ
一家挙つてこれを食うべて年を祝う。
海山さまざまのものを投じて食べるので雑煮という。
「長病の今年も参る雑煮かな」 子規
「一学系を率いて食う雑煮かな」 虚子
●初夢(はつゆめ)
二日の夜から三日の暁にかけて見る夢。その年の吉凶を占う。
宝船・獏の礼札を枕の下に敷寝して吉夢を得ようとし
もし悪夢を見たときは之を水に流す。
地方または時代によって、節分の夜から立春の暁に至る夢をさすとの説もあるが
現在では一般に一日の夜から二日の朝にかけて見る夢をいっている。
「初夢に故郷を見て涙かな」 一茶
「初夢の唯空白を存したり」 虚子
日本人にとって元旦には特別な意味があります。
それは去年が今年になったというだけでなく
すべてが新たに一から始まるという日で、この世にあるものは
みな新しい生命を持ち、生まれ変わると信じられてきたからです。
私たちも毎年正月を祝うことで自分を新しい人間に生まれ変わらせていきます。
元旦の「元」はもと、つまり源ということです。
一年が円還し、原点回帰して新しく復活する日なのです。
お正月行事は、新しく降臨された歳神様をお迎えし
一年の無事に感謝して、今年一年の豊作と家族の幸せを願うための
連日接待の儀であると同時に、農耕社会での生産共同体である
家族や地域との結束を図り、神様をもてなす儀式を通じて
人を見つめなおし、生き方を再確認して、次代に伝承していく
重要な意味をもっています。
寒い冬のさなかに訪れる新年を、初春(はつはる)・新春・迎春などと
「春」をつけて呼ぶのはなぜでしょうか。
それは、明治5年まで用いられていた旧暦においては
立春の前後を年始としていたため、その習慣が残っているからです。
旧暦においては、雨水(うすい:立春の約15日後。
現在の2月19日頃)の直前の朔(さく:新月)の日を元日と定めていました。
よって昔の元日は立春の約15日前から約15日後の間のいずれかの日に訪れました。
旧暦では、新しい年と新しい春が、まさに同時期に訪れていたのです。
新年を寿ぐ(ことほぐ)意味で用いられる「春」の語は
他の様々な語と結びついて、和歌や俳句で用いられてきました。
明の春(あけのはる)、今朝の春、花の春、千代の春、四方の春
老の春(おいのはる)あたりが代表的ですが
国の春、江戸の春、家の春、宿の春など、様々な用い方が出来ます。
なお「初春」を「はつはる」ではなく「しょしゅん」と発音する場合は
新年の季語ではなく、立春からの約1か月間を指す春の季語となります。
■1月の他の別名
祝月(いわいづき)
始和(しわ)
正月(しょうがつ)
早緑月(さみどりづき)
年端月(としはづき)
太郎月(たろうづき)
王春(おうしゅん)
建寅月(けんいんげつ)
初春月(はつはるづき)
◆七十二候。
一年を五日ごとに分けることで、自然界の微妙な変化を感じ取れる暦。
それぞれの季節にふさわしい名を付けて時候の移り変りを表しています。
芹生ず(せりしょうず):1月6日~10日頃
芹(せり)/一ヵ所にせり(競)合って生えることから「せり」。
中国では二千年前から食用に、日本でも古事記に登場、万葉集には
春の野遊びとして芹が詠まれています。
水泉動く(すいせんうごく):1月10日~14日頃
水泉とは地中から湧き出る水のこと。
凍りついた地中の泉が、かすかに暖かさを含む時季。
しかし地上はまだまだ厳寒の季節です。
雉子始めて鳴く(きじはじめてなく):1月15日~19日頃
雉子(きじ)/1947年、日本鳥学会において国鳥に選定。
日本では昔からただ単に「とり」という場合「雉」を指していたそうです。
低木林や草原に棲み、雄はけんけんと勇ましい声、
雌はちょんちょんと優しい声で鳴くとか。
蕗の花咲く(ふきのはなさく):1月20日~24日頃
蕗の薹(ふきのとう)/蕗の薹は蕗の花茎。
素揚げ、花が開いたように美しく揚げて春の味を。
花が咲く前、地面から出てきた直後くらいの柔らかいうちがベスト。
愛らしくて美味しいこの時季の山菜の代表です。
水沢腹く堅し(さわみずあつくかたし):1月25日~29日頃
沢に厚く硬い氷が張りつめるという意味です。
流れ動く沢の水をも凍りつくほど、一年でも最も寒い時季が続きます。
◆七十二候。
一年を五日ごとに分けることで、自然界の微妙な変化を感じ取れる暦。
それぞれの季節にふさわしい名を付けて時候の移り変りを表しています。
芹生ず(せりしょうず):1月6日~10日頃
芹(せり)/一ヵ所にせり(競)合って生えることから「せり」。
中国では二千年前から食用に、日本でも古事記に登場、万葉集には
春の野遊びとして芹が詠まれています。
水泉動く(すいせんうごく):1月10日~14日頃
水泉とは地中から湧き出る水のこと。
凍りついた地中の泉が、かすかに暖かさを含む時季。
しかし地上はまだまだ厳寒の季節です。
雉子始めて鳴く(きじはじめてなく):1月15日~19日頃
雉子(きじ)/1947年、日本鳥学会において国鳥に選定。
日本では昔からただ単に「とり」という場合「雉」を指していたそうです。
低木林や草原に棲み、雄はけんけんと勇ましい声、
雌はちょんちょんと優しい声で鳴くとか。
蕗の花咲く(ふきのはなさく):1月20日~24日頃
蕗の薹(ふきのとう)/蕗の薹は蕗の花茎。
素揚げ、花が開いたように美しく揚げて春の味を。
花が咲く前、地面から出てきた直後くらいの柔らかいうちがベスト。
愛らしくて美味しいこの時季の山菜の代表です。
水沢腹く堅し(さわみずあつくかたし):1月25日~29日頃
沢に厚く硬い氷が張りつめるという意味です。
流れ動く沢の水をも凍りつくほど、一年でも最も寒い時季が続きます。
◎正月とは
本来は、一年の最初の月のこと。
年神様(としがみさま)をお迎えする行事のことで1月の別名でもあります。
現在は年頭の祝いをする三が日(一年の最初の日である元日から3日まで)や
松の内(元日から7日または15日まで)をさすのが一般的。
「正」には「年の始め」という意味があります。
正月は家に年神様をお迎えする行事。年末に煤払い(すすはらい)をしたり
正月に門松やしめ飾りを飾るのは
いずれも年神様をお迎えするための準備です。
いずれも年神様をお迎えするための準備です。
日本では古くから季節の節目に先祖を奉り
五穀豊穣を祈る習慣がありました。
五穀豊穣を祈る習慣がありました。
特に新しい年を迎える正月は、盛大に行われてきたようです。
現在のように、しめ飾りや鏡餅などを飾るようになったのは
江戸時代に入ってからのようです。
元旦には宮中や全国の神社で歳旦祭(さいたんさい)がおこなわれます。
【年神様(としがみさま】
新年の神様。「正月様」「歳徳神(としとくじん」ともいいます。
年の始めに、その年の作物が豊かに実るよう
家族みんなに幸せをもたらすために
家族みんなに幸せをもたらすために
高い山から降臨してくると考えられていました。
また、昔亡くなった人の魂は山の神になり、正月に年神様となって
子孫の繁栄を見守ってくれるのだとも考えていました。
つまり、年神様は祖先の神様でもあり、農耕の神様でもあるわけです。
年神様は、正月の間、それぞれの家に滞在されます。
神社と同じように、玄関に注連縄(しめなわ)を飾るのは
そこが神様がいらっしゃるのにふさわしい神聖な場所であるということ。
大掃除もそのためのものです。きれいにしましょう。
元日(がんじつ)と元旦(がんたん)
元日は1月1日の意味ですが「元旦」は1月1日の朝のことをさします。
※間違って使いがちですので、気をつけましょう。
年神様が降臨するのは元旦、つまり1月1日の朝ですので
くれぐれも、新年早々お昼まで寝ていた、なんてことがありませんように。
●一年の計は元旦にあり
お正月には「新春」「迎春」など春のつく言葉が多く使われます。
これは旧暦では立春が一月一日だったから。
「春」この若々しく清新な年の初めに、心機一転「今年こそ」と
一年の生活の目標を立てて決意を固めたいものです。
◆ 家内安全 ◆
土地にはその土地に暮らす人々の幸せを
見守ってくださっている神様がおられます。
この神様を鎮守さま、氏神(うじがみ)さま
産土神(うぶすなかみ)さまと呼んでいます。
遠くの有名な神社やお寺に初詣にいくだけでは
本当の家内安全を祈願したことにはなりません。
年が明けて氏神様への初詣も忘れずに。
◆ 招運来福 ◆
日本のお正月は縁起をかつぐ行事で満ち満ちています。
縁起のいいお正月を送ることが招運来福の秘訣です。
運・不運といいますが運は必ずしも向こうからやってくるわけではありません。
自ら進んで運を呼び込む福を得るために私たちの祖先は
さまざまな縁起物をそばに置き、縁起をかついできました。
そして神仏と縁を結び睦みあって生活してきたのです。
◆ 厄除開運 ◆
厄は厄年ばかりでなく毎日の中にあるものです。
罪を犯さないよう努力していても、知らないうちに
人を傷つけていたりすることもありつい過ちを犯しがちです。
開運を望むなら、まず自分の厄を祓わなければいけないというわけです。
◆ 五穀豊穣 ◆
日本人の主食は米です。私たちの生活は稲を中心にして培われてきました。
人々は年の初めに稲に宿る神様を祀り
稲をはじめとする穀物の豊作を祈りました。
豊作が生活に豊かさをもたらす基本だからです。
それを表したものが鏡餅です。
◆ 無病息災 ◆
病気という言葉が示すとおり、病は気から。
節目節目に身体の中の邪気を取り除き、健康を願う行事がたくさんあります。
羽子つきやどんど焼きなどもその一つ。
●一年の計は元旦にあり
お正月には「新春」「迎春」など春のつく言葉が多く使われます。
これは旧暦では立春が一月一日だったから。
「春」この若々しく清新な年の初めに、心機一転「今年こそ」と
一年の生活の目標を立てて決意を固めたいものです。
◆ 家内安全 ◆
土地にはその土地に暮らす人々の幸せを
見守ってくださっている神様がおられます。
この神様を鎮守さま、氏神(うじがみ)さま
産土神(うぶすなかみ)さまと呼んでいます。
遠くの有名な神社やお寺に初詣にいくだけでは
本当の家内安全を祈願したことにはなりません。
年が明けて氏神様への初詣も忘れずに。
◆ 招運来福 ◆
日本のお正月は縁起をかつぐ行事で満ち満ちています。
縁起のいいお正月を送ることが招運来福の秘訣です。
運・不運といいますが運は必ずしも向こうからやってくるわけではありません。
自ら進んで運を呼び込む福を得るために私たちの祖先は
さまざまな縁起物をそばに置き、縁起をかついできました。
そして神仏と縁を結び睦みあって生活してきたのです。
◆ 厄除開運 ◆
厄は厄年ばかりでなく毎日の中にあるものです。
罪を犯さないよう努力していても、知らないうちに
人を傷つけていたりすることもありつい過ちを犯しがちです。
開運を望むなら、まず自分の厄を祓わなければいけないというわけです。
◆ 五穀豊穣 ◆
日本人の主食は米です。私たちの生活は稲を中心にして培われてきました。
人々は年の初めに稲に宿る神様を祀り
稲をはじめとする穀物の豊作を祈りました。
豊作が生活に豊かさをもたらす基本だからです。
それを表したものが鏡餅です。
◆ 無病息災 ◆
病気という言葉が示すとおり、病は気から。
節目節目に身体の中の邪気を取り除き、健康を願う行事がたくさんあります。
羽子つきやどんど焼きなどもその一つ。
■時候の挨拶 * 1月
「正月」「初春」「新春」「孟春」
「厳冬」「極寒」「小寒」「大寒」
「降雪の候」「酷風の候」「大寒の節」
「厳寒のみぎり」「酷寒のみぎり」
「いよいよ寒気がつのり」「寒気厳しき折柄」
「星も凍るような寒い夜」「例年にない寒さ」
「寒気ことのほか厳しく」「霜柱を踏んで」
「雪の晴れ間」「積雪は軒につかえ」
「初春とはいえ」「冬来たりなば春遠からじ」
■新年の季語
【時候】
五日 女正月 元日 小正月 旧年 去年 去年今年 今年
小年 三が日 正月 人日 新年 七日 七日正月 二十日正月
初春 初三十日 春永 二日 仏正月 松過 松の内
三日 六日 睦月 宵の年 四日
【天文】
御降 淑気 儺追風 初茜 初明り 初霞 初東風 初東雲
初松籟 初空 初凪 初晴 初日 初星 春の初風
◆小寒(しょうかん)
1月5日頃。
および大寒までの期間。
太陽黄経285度
冬至 から数えて15日目頃、冬至 と大寒の中間。
寒さが加わる頃という意味で、いわゆる「寒の入り」のこと。
小寒から節分までの30日間を「寒の内」といい
寒風と降雪の時節で、寒さが厳しくなる頃。これから冬本番を迎えます。
寒稽古や寒中水泳が行われるのは、この「寒」の時季です。
※立春が「寒の明け」になります。
この日から、寒中見舞いを出し始めます。
◆成人の日
※1月の第2月曜日 (令和6年は1月8日)
大人になったことを自覚し、自ら生き抜こうとする青年を祝い励ます日。
1948年に制定されてから1999年まで1月15日でしたが
2000年に制定されたハッピーマンデー法に基づき
1月の第2月曜日に改正されています。
◆大寒(だいかん)
1月20日頃。および立春までの期間。
太陽黄経300度
小寒から数えて15日目頃。冬の季節の最後の節気。
寒さがさらに厳しくなり、1年中で最も寒い時季です。
小寒から立春までの30日間を寒の内といい、大寒はそのまん中にあたります。
寒稽古など、耐寒のためのいろいろな行事が行われます。
また「寒仕込み」といって、寒気を利用した食べ物
(凍り豆腐、寒天、酒、味噌など)を仕込むのに最もよい時期とされています。
●季節の言葉
『 初晴れ 』
元日の晴天のこと。元日から晴天が続くと幸先が良いとして喜ばれます。
『 寒稽古 』
寒中の早朝に武道や芸道の稽古をすること。
『 冴ゆ(さゆ) 』
空気が凍るような感じのこと。夕方から夜にかけて使われることが多い言葉。
『 年始参り・お年賀 』
本家と分家が一同に集まって新年の挨拶をしたのが始まり。
訪問は元日を除き、松の内までに、午前中は避けて1時から2時頃に訪問します。
『 年賀状・寒中見舞い 』
年賀状は新年の挨拶に出かけるかわりに書くものです。
年賀状をいただいた場合は松の内までに返信します。
それを過ぎた場合は「寒中見舞い」として寒の入りから立春までに出します。
お正月の行事あれこれ
◆ 初日の出
元旦の初日とともに神様も生まれ変わります。
去年の神様は大晦日にその力が失われ
まったく新しい今年の歳神様が初日の出とともに降臨されます。
◆ 門松・注連飾り
門松は、歳神様をお迎えし、降臨される「依代(よりしろ)」です。
松は四季にわたって色を変えないことから
生命の木、普遍の象徴として崇められてきました。
注連飾りは、歳神様がおいでになる神聖な区域を
普通の場所と区別する結界の象徴です。
◆ 鏡餅
作物の中で最も大切なお米でついたお餅に
海の幸、山の幸をあしらい、歳神様へお供えをして
五穀豊穣を祈るのが鏡餅です。
正月十一日には「鏡開き」と称して、鏡餅の中に宿る歳神様の魂を
家中こぞっていただけば、家族一人一人にその魂が分け与えられ
あらためてまた一年健やかに暮らしていけると信じられています。
霊魂のことを昔は「タマ」と称していました。
昔の人は霊魂つまり「タマ」を丸いものと信じ
丸いお餅を歳神様の魂のシンボルと考えていました。
◆ 松の内 元日から関東1月7日、関西1月15日
元日から松飾りを取り除く日までの「七日正月」までを松の内といいます。
七日正月に松送りをする関東地方、関西では十五日までが松の内。
地方により異なります。
◆ 七草粥 1月7日
七種類の若菜が入ったお粥を食べて、一年間の無病息災を願います。
青菜が不足する時期に栄養を摂り、お正月のご馳走で疲れた胃腸を休めるという
生活の知恵でもあります。
七草・・せり、なずな、ごぎょう、はこべら、ほとけのざ
すずな(かぶ)、すずしろ(大根)。
◆ どんど焼き、左義長(さぎちょう)1月15日
お正月の行事は小正月(1月15日)をもって終了します。
どんど焼きは大正月(元日)にお迎えした歳神様を
火に乗せて天にお送りする行事です。
お正月の飾り物を神聖な火で焚き、一年の無病息災を祈ります。
●寒の内(かんのうち)
寒の入より寒明までの約三十日間をいう。
単に寒というのも主に此の寒の内のことである。
寒の内には寒の水を取るとか、寒灸をすゑつとか其他いろいろの行事がある。
「乾鮭も空也の痩も寒の内」芭蕉
「御佛飯焼いていたゞく寒の内」雨圃子
「一切の行蔵寒にある思ひ」虚子
●七種(ななくさ)
「せりなづな御形はこべら佛の座すずなすずしろこれや七種」
-初春の野に立ち出でて之を摘み、羹とすることは中国から伝わったことで
古く万葉時代から行われていた。万病を攘い、邪気を除くといわれ
若い乙女子の手に摘まれ、煮られるのが本義とされている。
昔は上子の日に摘み、之を天子に上つたのであるが
いつしか七日に行う習となった。
春の七草。
「七草や兄弟の子の起きそろひ」太祇
「摘みゆけど春の七草揃はざる」秀好
「七草や似つかぬ草も打ちまじり」夏山
「七種に更に嫁菜を加へけり」虚子
●若菜(わかな)
若菜は七種の総称。若菜摘(わかなつみ)。
「摘む人の傍に寄り若菜つむ」 温亭
●七種粥(ななくさがゆ)
七種を打ち囃して、悪鳥を禳(はら)うといい伝えなどはよしなくとも
冬枯の野に出て、星や青々と鮮かな色をなしてゐる七種を摘み
これを粥にして食することは新年の一日にふさわしい清々しい行事。
薺(なずな)粥。
「薺粥箸にかゝらぬ緑かな」蝶衣
「白箸に色かぐわしき薺かな」秋皎
「薺粥さらりと出来てめでたけれ」杣男
●餅花(もちばな)
一月十四日、餅の小さな玉を作り、様々の色に染め
これを樹枝に挿して神前に供へる。繭に象つたもので繭玉ともいう。
養蚕の盛んなのを祝うのであるが
今日では唯部屋の飾、ショーウインドの装飾などにその華やかさを止めるのみ。
「餅花や灯たてゝ壁の影」其角
「壁花をくゞりて入りぬ電話室」洛山人
「餅花や酔ひ打臥せる枕許」活東
「餅花の影一ぱいに灯りけり」薫子
「あふ向いて餅花をつるす女かな」北村
「餅花のふれたる髪に手をやりし」花洞
「餅花の賽は鯛より大きけれ」虚子
●風花(かざはな)
晴天にちらつく雪をいう。又風の出初に少し降る雪とも。
「風花に紺のたちつけ干してあり」 雲十
「日ねもすの風花淋しからざるや」 虚子
●雪(ゆき)
昔から月雪花と讃へられ雪は冬を象徴しいろいろの景観を呈する。
六片に凍るため、六花(ろくばな)とも呼ばれるがその形態は実にさまざまで
牡丹雪(ぼたんゆき)・小米雪(こごめゆき)・粉雪・綿雪などの名称がある。
降雪の期や量は地方によって大いに違い、趣も亦非常な差がある。
雪空。大雪。深雪(みゆき)。小雪。吹雪。しずり雪。
ちらちら雪。雪明り。雪煙。朝の雪。夜の雪。暮雪(ぼせつ)。
「馬をさへながむる雪のあしたかな」 芭蕉
「住吉の雪にぬかづく遊女かな」 蕪村
「いくたびも雪の深さを尋ねけり」 子規
「我を迎ふ旧山河雪を装へり」 虚子
●寒月(かんげつ)
転地凍てつくような空にかかった、見るからに寒いような月をいう。
雲一つない時は冷徹そのもののように身魂に刀をあてる鋭さがあり
雲間を駛る寒月には凄さがある。
「寒月や枯木の中の竹三竿」蕪村
「駕を出て寒月高し己が門」大祇
「海原や寒月駛る夜もすがら」海扇
「寒月に幻(げ)の影かゝりうせにけり」友次郎
「寒月の通天わたるひとりかな」茅舎
「寒月を網する如き枯枝かな」虚子
●寒牡丹(かんぼたん)
厳冬に花を咲かせるために、藁などでかこって培う。
初瀬寺、染寺その他牡丹に名のある所に杖を曳けば
寒中の牡丹の花に遇ふことが出来る。
寒牡丹といふ特別の種類があるのではない。冬牡丹(ふゆぼたん)。
「ひうひうと風は空行冬牡丹」 鬼貫
「惨として驕らざるこの寒牡丹」 虚子
●冬薔薇(ふゆさうび)
冬に咲く薔薇である。すがれた茎に一輪深紅の花をつけているのを見れば
野茨や観賞用の春の薔薇とは自ら異なった感じがある。
寒薔薇(かんばら)。冬ばら。
「大輪のあと蕾なし冬の薔薇」 みさ子
「強き刺もちて冬薔薇咲きにけり」 野風呂
●寒菊(かんぎく)
寒菊は菊花の盛を過ぎた頃から蕾を上げ始めて
冬期、小輪深黄或は深紅の花を開き永く咲きつづける。
菊の原種の一変種。葉が紅葉することもあるし
雪中に花をつゞけ、雅致の深いものである。
「寒菊や粉糠のかゝる臼の端」芭蕉
「寒菊や愛すともなき垣根かな」蕪村
「寒菊に南天の実のこぼれけり」曉臺
「寒菊のそこら静な畑かな」射江
「寒菊やころがり侘びて石一つ」草城
「寒菊や年々同じ庭の隅」虚子
●水仙(すいせん)
菊のあとは花は少なくなる中、厳寒にもめげずに咲く気品の高い花。
一重と八重とがある。
「水仙の花のうしろの蕾かな」 立子
「水仙のはげしき雨に堪えてあり」 綾女
●大寒(だいかん)
小寒の後一五日目、大抵一月二十一日頃に当たり最も寒気凛冽(りんれつ)。
「大寒の白々として京の町」 木犀
「大寒の埃の如く人死ぬる」 虚子
●早梅(そうばい)
冬至頃から咲き出す特殊な梅はもちろん早梅であるが、特に暖かな地方とか
南面した山懐とか、そういう処にあって季節よりも早く吹き出でた梅をいう。
「梅つばき早咲きほめむ保美の里」 芭蕉
「早梅や御室の里の売屋敷」 蕪村
「神前の軒端の梅の早さかな」 虚子
●蝋梅(ろうばい)
蝋付き、葉に魁けて黄蝋に似た花をつける。
欄香を放つ。唐梅(からうめ)ともいう。
「きりくるる蝋梅のもとにしたがへり」 菱歌
●寒梅(かんばい)
寒中に花を発する梅。冬の梅(ふゆのうめ)。寒紅梅(かんこうばい)。
「冬の梅きのふやちりぬ石の上」蕪村
「寒梅やほくちにうつる二三輪」蕪村
「とかくして散る日になりぬ冬のうめ」蕪村
「冬の梅咲く枝剪つてさしはさむ」温亭
「寒梅や青々として竹箒」凡平
「寒梅の固き蕾の賑しき」としを
「粉雪のちらつくもよし冬至梅」乙女
「冬梅の既に情を含みをり」虚子
●冬櫻(ふゆざくら)
冬開く櫻の一種。六甲の麓、本山町岡本にある冬櫻は
十一月中旬頃から二月頃まで霜や雪にめげずに咲いている。
高さ一間半くらい。花は彼岸櫻に似て色は白く、香もなく、枝一面に咲き
村人は寒櫻と呼んでいる。伊豆熱川にも五・六本の冬櫻があり
一二月・一月頃白く咲いてはらはらと散っている。
春の櫻と違つて散る一方に盛りの花もあり、後々には蕾が沢山ついている。
「満開にして淋しさや寒櫻」 虚子
●寒椿(かんつばき)
椿は春の花であるが早咲は既に冬季寒中に咲くところから
これを寒椿といい冬椿と呼ぶ。寒椿という特別の種類があるのではない。
日当りのよい藪表の山椿、八重の太神楽等は早く咲く。
枯木の常盤木の中に一点の紅を点ずるもの、凛としたところがある。
「うつくしく交る中や冬椿」鬼貫
「冬椿乏しき花を落しけり」草城
「汲みとりて蓋する井戸や冬椿」澄水子
「下むきに咲きそる花や寒椿」立子
「うかゞへば尚一輪や冬椿」八郎
「雪かぶる日もありて咲く冬椿」虚子
●春待つ(はるまつ)
陰気な冬も終わりに近くなり華やかなのびのびとした
楽しい春の来るのを待つ心持ちをいう。
冬の終わりには冬を惜しむ情けはなくて春を待つ心ばかり。
待春(たいしゅん)。
「春を待つ舞子の茶屋や松の中」 躑躅
「押す花もなくて一壷の春を待つ」 二石
「時ものを解決するや春を待つ」 虚子
■冷えは万病のもと。乾燥生姜で体の中から温めましょう
いよいよ1年で最も気温が下がる季節の到来です。
お肌はこの時期、紫外線が減るので肌色は明るくなりますが
寒さと冷えで血行や代謝が鈍り、それによりお肌の乾燥を招きます。
内外から冷えない対策とお肌は保湿ケアが大切な時期です。
冷え性対策については、ある健康番組で生姜は『生』より
『乾燥』したものの方が身体を深部から温める効果が高いと紹介されていました。
生姜は中国でも古くから漢方処方に頻用されその効果は咳を鎮め
痰を切り、嘔吐を抑える他、解熱や消化器系の機能亢進、腹痛、
胃痛や便秘の解消など実に様々な効能が知られています。
乾燥した生姜は古くから漢方薬に使われ、中国の薬学書には
乾燥生姜は「寒冷腹痛止める」「中を温める」という薬能が記述されているそうです。
乾燥生姜の作り方ですが1、2ミリにスライスした生姜を
室内干しで一週間、天日干しなら一日、乾燥させたら出来上がりです。
乾燥させた生姜はフードミルなどで細かく砕き
黒砂糖や蜂蜜、紅茶などを入れて飲むと良いです。
生姜焼きやスープなども乾燥させた生姜の方が
辛味成分が更に出て甘味も増すようです。
乾燥させる時は"カビに注意して作る"こと以外はかなり簡単にできますので
皆さんもこの冬は冷え対策に乾燥生姜を試してみてはいかがでしょうか。
冷え性は万病の元といわれるように気づいていながら
放置しておくと様々な病気を誘発してしまいます。
(生理不順、子宮筋腫、更年期障害、子宮内膜症、栄養失調、糖尿病
心臓病、心不全、肝炎、卵巣機能障害)
外からも腰周りを冷やさないように暖かいショーツ
(毛糸のパンツや腹巻き・笑)をはいて
内側からはインナーマッスルを鍛え、熱を発生させましょう。
冷え性は努力と工夫で改善できるものなので
自分に合ったやり方を探してみて下さい。
冬は冬らしく寒さが深いと春に咲く桜が一層美しく
サクラ色の輝きも違ってくるそうですが、私たち人間も
冬はしっかりエネルギーを溜め込んで冷え性を改善し、筋肉を鍛え
春から夏にはイキイキと活動的にエネルギーを発散できるように
季節のリズム(大自然のリズム)と共に身体づくりに励みたいものですね。
◆ 初日の出
元旦の初日とともに神様も生まれ変わります。
去年の神様は大晦日にその力が失われ
まったく新しい今年の歳神様が初日の出とともに降臨されます。
◆ 門松・注連飾り
門松は、歳神様をお迎えし、降臨される「依代(よりしろ)」です。
松は四季にわたって色を変えないことから
生命の木、普遍の象徴として崇められてきました。
注連飾りは、歳神様がおいでになる神聖な区域を
普通の場所と区別する結界の象徴です。
◆ 鏡餅
作物の中で最も大切なお米でついたお餅に
海の幸、山の幸をあしらい、歳神様へお供えをして
五穀豊穣を祈るのが鏡餅です。
正月十一日には「鏡開き」と称して、鏡餅の中に宿る歳神様の魂を
家中こぞっていただけば、家族一人一人にその魂が分け与えられ
あらためてまた一年健やかに暮らしていけると信じられています。
霊魂のことを昔は「タマ」と称していました。
昔の人は霊魂つまり「タマ」を丸いものと信じ
丸いお餅を歳神様の魂のシンボルと考えていました。
◆ 松の内 元日から関東1月7日、関西1月15日
元日から松飾りを取り除く日までの「七日正月」までを松の内といいます。
七日正月に松送りをする関東地方、関西では十五日までが松の内。
地方により異なります。
◆ 七草粥 1月7日
七種類の若菜が入ったお粥を食べて、一年間の無病息災を願います。
青菜が不足する時期に栄養を摂り、お正月のご馳走で疲れた胃腸を休めるという
生活の知恵でもあります。
七草・・せり、なずな、ごぎょう、はこべら、ほとけのざ
すずな(かぶ)、すずしろ(大根)。
◆ どんど焼き、左義長(さぎちょう)1月15日
お正月の行事は小正月(1月15日)をもって終了します。
どんど焼きは大正月(元日)にお迎えした歳神様を
火に乗せて天にお送りする行事です。
お正月の飾り物を神聖な火で焚き、一年の無病息災を祈ります。
●寒の内(かんのうち)
寒の入より寒明までの約三十日間をいう。
単に寒というのも主に此の寒の内のことである。
寒の内には寒の水を取るとか、寒灸をすゑつとか其他いろいろの行事がある。
「乾鮭も空也の痩も寒の内」芭蕉
「御佛飯焼いていたゞく寒の内」雨圃子
「一切の行蔵寒にある思ひ」虚子
●七種(ななくさ)
「せりなづな御形はこべら佛の座すずなすずしろこれや七種」
-初春の野に立ち出でて之を摘み、羹とすることは中国から伝わったことで
古く万葉時代から行われていた。万病を攘い、邪気を除くといわれ
若い乙女子の手に摘まれ、煮られるのが本義とされている。
昔は上子の日に摘み、之を天子に上つたのであるが
いつしか七日に行う習となった。
春の七草。
「七草や兄弟の子の起きそろひ」太祇
「摘みゆけど春の七草揃はざる」秀好
「七草や似つかぬ草も打ちまじり」夏山
「七種に更に嫁菜を加へけり」虚子
●若菜(わかな)
若菜は七種の総称。若菜摘(わかなつみ)。
「摘む人の傍に寄り若菜つむ」 温亭
●七種粥(ななくさがゆ)
七種を打ち囃して、悪鳥を禳(はら)うといい伝えなどはよしなくとも
冬枯の野に出て、星や青々と鮮かな色をなしてゐる七種を摘み
これを粥にして食することは新年の一日にふさわしい清々しい行事。
薺(なずな)粥。
「薺粥箸にかゝらぬ緑かな」蝶衣
「白箸に色かぐわしき薺かな」秋皎
「薺粥さらりと出来てめでたけれ」杣男
●餅花(もちばな)
一月十四日、餅の小さな玉を作り、様々の色に染め
これを樹枝に挿して神前に供へる。繭に象つたもので繭玉ともいう。
養蚕の盛んなのを祝うのであるが
今日では唯部屋の飾、ショーウインドの装飾などにその華やかさを止めるのみ。
「餅花や灯たてゝ壁の影」其角
「壁花をくゞりて入りぬ電話室」洛山人
「餅花や酔ひ打臥せる枕許」活東
「餅花の影一ぱいに灯りけり」薫子
「あふ向いて餅花をつるす女かな」北村
「餅花のふれたる髪に手をやりし」花洞
「餅花の賽は鯛より大きけれ」虚子
●風花(かざはな)
晴天にちらつく雪をいう。又風の出初に少し降る雪とも。
「風花に紺のたちつけ干してあり」 雲十
「日ねもすの風花淋しからざるや」 虚子
●雪(ゆき)
昔から月雪花と讃へられ雪は冬を象徴しいろいろの景観を呈する。
六片に凍るため、六花(ろくばな)とも呼ばれるがその形態は実にさまざまで
牡丹雪(ぼたんゆき)・小米雪(こごめゆき)・粉雪・綿雪などの名称がある。
降雪の期や量は地方によって大いに違い、趣も亦非常な差がある。
雪空。大雪。深雪(みゆき)。小雪。吹雪。しずり雪。
ちらちら雪。雪明り。雪煙。朝の雪。夜の雪。暮雪(ぼせつ)。
「馬をさへながむる雪のあしたかな」 芭蕉
「住吉の雪にぬかづく遊女かな」 蕪村
「いくたびも雪の深さを尋ねけり」 子規
「我を迎ふ旧山河雪を装へり」 虚子
●寒月(かんげつ)
転地凍てつくような空にかかった、見るからに寒いような月をいう。
雲一つない時は冷徹そのもののように身魂に刀をあてる鋭さがあり
雲間を駛る寒月には凄さがある。
「寒月や枯木の中の竹三竿」蕪村
「駕を出て寒月高し己が門」大祇
「海原や寒月駛る夜もすがら」海扇
「寒月に幻(げ)の影かゝりうせにけり」友次郎
「寒月の通天わたるひとりかな」茅舎
「寒月を網する如き枯枝かな」虚子
●寒牡丹(かんぼたん)
厳冬に花を咲かせるために、藁などでかこって培う。
初瀬寺、染寺その他牡丹に名のある所に杖を曳けば
寒中の牡丹の花に遇ふことが出来る。
寒牡丹といふ特別の種類があるのではない。冬牡丹(ふゆぼたん)。
「ひうひうと風は空行冬牡丹」 鬼貫
「惨として驕らざるこの寒牡丹」 虚子
●冬薔薇(ふゆさうび)
冬に咲く薔薇である。すがれた茎に一輪深紅の花をつけているのを見れば
野茨や観賞用の春の薔薇とは自ら異なった感じがある。
寒薔薇(かんばら)。冬ばら。
「大輪のあと蕾なし冬の薔薇」 みさ子
「強き刺もちて冬薔薇咲きにけり」 野風呂
●寒菊(かんぎく)
寒菊は菊花の盛を過ぎた頃から蕾を上げ始めて
冬期、小輪深黄或は深紅の花を開き永く咲きつづける。
菊の原種の一変種。葉が紅葉することもあるし
雪中に花をつゞけ、雅致の深いものである。
「寒菊や粉糠のかゝる臼の端」芭蕉
「寒菊や愛すともなき垣根かな」蕪村
「寒菊に南天の実のこぼれけり」曉臺
「寒菊のそこら静な畑かな」射江
「寒菊やころがり侘びて石一つ」草城
「寒菊や年々同じ庭の隅」虚子
●水仙(すいせん)
菊のあとは花は少なくなる中、厳寒にもめげずに咲く気品の高い花。
一重と八重とがある。
「水仙の花のうしろの蕾かな」 立子
「水仙のはげしき雨に堪えてあり」 綾女
●大寒(だいかん)
小寒の後一五日目、大抵一月二十一日頃に当たり最も寒気凛冽(りんれつ)。
「大寒の白々として京の町」 木犀
「大寒の埃の如く人死ぬる」 虚子
●早梅(そうばい)
冬至頃から咲き出す特殊な梅はもちろん早梅であるが、特に暖かな地方とか
南面した山懐とか、そういう処にあって季節よりも早く吹き出でた梅をいう。
「梅つばき早咲きほめむ保美の里」 芭蕉
「早梅や御室の里の売屋敷」 蕪村
「神前の軒端の梅の早さかな」 虚子
●蝋梅(ろうばい)
蝋付き、葉に魁けて黄蝋に似た花をつける。
欄香を放つ。唐梅(からうめ)ともいう。
「きりくるる蝋梅のもとにしたがへり」 菱歌
●寒梅(かんばい)
寒中に花を発する梅。冬の梅(ふゆのうめ)。寒紅梅(かんこうばい)。
「冬の梅きのふやちりぬ石の上」蕪村
「寒梅やほくちにうつる二三輪」蕪村
「とかくして散る日になりぬ冬のうめ」蕪村
「冬の梅咲く枝剪つてさしはさむ」温亭
「寒梅や青々として竹箒」凡平
「寒梅の固き蕾の賑しき」としを
「粉雪のちらつくもよし冬至梅」乙女
「冬梅の既に情を含みをり」虚子
●冬櫻(ふゆざくら)
冬開く櫻の一種。六甲の麓、本山町岡本にある冬櫻は
十一月中旬頃から二月頃まで霜や雪にめげずに咲いている。
高さ一間半くらい。花は彼岸櫻に似て色は白く、香もなく、枝一面に咲き
村人は寒櫻と呼んでいる。伊豆熱川にも五・六本の冬櫻があり
一二月・一月頃白く咲いてはらはらと散っている。
春の櫻と違つて散る一方に盛りの花もあり、後々には蕾が沢山ついている。
「満開にして淋しさや寒櫻」 虚子
●寒椿(かんつばき)
椿は春の花であるが早咲は既に冬季寒中に咲くところから
これを寒椿といい冬椿と呼ぶ。寒椿という特別の種類があるのではない。
日当りのよい藪表の山椿、八重の太神楽等は早く咲く。
枯木の常盤木の中に一点の紅を点ずるもの、凛としたところがある。
「うつくしく交る中や冬椿」鬼貫
「冬椿乏しき花を落しけり」草城
「汲みとりて蓋する井戸や冬椿」澄水子
「下むきに咲きそる花や寒椿」立子
「うかゞへば尚一輪や冬椿」八郎
「雪かぶる日もありて咲く冬椿」虚子
●春待つ(はるまつ)
陰気な冬も終わりに近くなり華やかなのびのびとした
楽しい春の来るのを待つ心持ちをいう。
冬の終わりには冬を惜しむ情けはなくて春を待つ心ばかり。
待春(たいしゅん)。
「春を待つ舞子の茶屋や松の中」 躑躅
「押す花もなくて一壷の春を待つ」 二石
「時ものを解決するや春を待つ」 虚子
■冷えは万病のもと。乾燥生姜で体の中から温めましょう
いよいよ1年で最も気温が下がる季節の到来です。
お肌はこの時期、紫外線が減るので肌色は明るくなりますが
寒さと冷えで血行や代謝が鈍り、それによりお肌の乾燥を招きます。
内外から冷えない対策とお肌は保湿ケアが大切な時期です。
冷え性対策については、ある健康番組で生姜は『生』より
『乾燥』したものの方が身体を深部から温める効果が高いと紹介されていました。
生姜は中国でも古くから漢方処方に頻用されその効果は咳を鎮め
痰を切り、嘔吐を抑える他、解熱や消化器系の機能亢進、腹痛、
胃痛や便秘の解消など実に様々な効能が知られています。
乾燥した生姜は古くから漢方薬に使われ、中国の薬学書には
乾燥生姜は「寒冷腹痛止める」「中を温める」という薬能が記述されているそうです。
乾燥生姜の作り方ですが1、2ミリにスライスした生姜を
室内干しで一週間、天日干しなら一日、乾燥させたら出来上がりです。
乾燥させた生姜はフードミルなどで細かく砕き
黒砂糖や蜂蜜、紅茶などを入れて飲むと良いです。
生姜焼きやスープなども乾燥させた生姜の方が
辛味成分が更に出て甘味も増すようです。
乾燥させる時は"カビに注意して作る"こと以外はかなり簡単にできますので
皆さんもこの冬は冷え対策に乾燥生姜を試してみてはいかがでしょうか。
冷え性は万病の元といわれるように気づいていながら
放置しておくと様々な病気を誘発してしまいます。
(生理不順、子宮筋腫、更年期障害、子宮内膜症、栄養失調、糖尿病
心臓病、心不全、肝炎、卵巣機能障害)
外からも腰周りを冷やさないように暖かいショーツ
(毛糸のパンツや腹巻き・笑)をはいて
内側からはインナーマッスルを鍛え、熱を発生させましょう。
冷え性は努力と工夫で改善できるものなので
自分に合ったやり方を探してみて下さい。
冬は冬らしく寒さが深いと春に咲く桜が一層美しく
サクラ色の輝きも違ってくるそうですが、私たち人間も
冬はしっかりエネルギーを溜め込んで冷え性を改善し、筋肉を鍛え
春から夏にはイキイキと活動的にエネルギーを発散できるように
季節のリズム(大自然のリズム)と共に身体づくりに励みたいものですね。