明けましておめでとうございます。
本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

睦月

■睦月
親族が互いに往来し、仲睦まじく宴をする月であるからといわれています。
また、稲の実を初めて水に浸す月を指す「実月(むつき)」から
転じたという説もあります。

季節:晩冬(ばんとう) ※小寒から立春の前日まで。

■1月の他の別名
祝月(いわいづき)
始和(しわ)
正月(しょうがつ)
早緑月(さみどりづき)
年端月(としはづき)
太郎月(たろうづき)
王春(おうしゅん)
建寅月(けんいんげつ)
初春月(はつはるづき)

年の始めをことほいで初春という。
旧暦の年の始めは、二十四節気の「立春」のころにあたったので
「初春」と呼んで祝った。新暦に変わって冬に正月を迎えるようになっても
旧暦の名残から年の始を「初春」と呼ぶ。

寒い冬のさなかに訪れる新年を、初春(はつはる)・新春・迎春などと
「春」をつけて呼ぶのはなぜでしょうか。
それは、明治5年まで用いられていた旧暦においては
立春の前後を年始としていたため、その習慣が残っているからです。

旧暦においては、雨水(うすい:立春の約15日後。現在の2月19日頃)の
直前の朔(さく:新月)の日を元日と定めていました。
よって昔の元日は立春の約15日前から約15日後の間のいずれかの日に訪れました。
旧暦では、新しい年と新しい春が、まさに同時期に訪れていたのです。

新年を寿ぐ(ことほぐ)意味で用いられる「春」の語は
他の様々な語と結びついて、和歌や俳句で用いられてきました。
明の春(あけのはる)、今朝の春、花の春、千代の春、
四方の春、老の春(おいのはる)あたりが代表的ですが、国の春、江戸の春、
家の春、宿の春など、様々な用い方が出来ます。

なお「初春」を「はつはる」ではなく、「しょしゅん」と発音する場合は
新年の季語ではなく、立春からの約1か月間を指す春の季語となります。

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日本人にとって元旦には特別な意味があります。
それは去年が今年になったというだけでなく
すべてが新たに一から始まるという日で、この世にあるものは
みな新しい生命を持ち、生まれ変わると信じられてきたからです。
私たちも毎年正月を祝うことで自分を新しい人間に生まれ変わらせていきます。

元旦の「元」はもと、つまり源ということです。
一年が円還し、原点回帰して新しく復活する日なのです。
お正月行事は、新しく降臨された歳神様をお迎えし
一年の無事に感謝して、今年一年の豊作と家族の幸せを願うための
連日接待の儀であると同時に、農耕社会での生産共同体である
家族や地域との結束を図り、神様をもてなす儀式を通じて
人を見つめなおし、生き方を再確認して、次代に伝承していく
重要な意味をもっています。

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◎正月とは
本来は、一年の最初の月のこと。
年神様(としがみさま)をお迎えする行事のことで1月の別名でもあります。
現在は年頭の祝いをする三が日(一年の最初の日である元日から3日まで)や
松の内(元日から7日または15日まで)をさすのが一般的。
「正」には「年の始め」という意味があります。

正月は家に年神様をお迎えする行事。年末に煤払い(すすはらい)をしたり
正月に門松やしめ飾りを飾るのは
いずれも年神様をお迎えするための準備です。

日本では古くから季節の節目に先祖を奉り
五穀豊穣を祈る習慣がありました。
特に新しい年を迎える正月は、盛大に行われてきたようです。
現在のように、しめ飾りや鏡餅などを飾るようになったのは
江戸時代に入ってからのようです。
元旦には、宮中や全国の神社で歳旦祭(さいたんさい)がおこなわれます。
【年神様(としがみさま】
新年の神様。「正月様」「歳徳神(としとくじん」ともいいます。
年の始めに、その年の作物が豊かに実るよう
家族みんなに幸せをもたらすために
高い山から降臨してくると考えられていました。
また、昔亡くなった人の魂は山の神になり、正月に年神様となって
子孫の繁栄を見守ってくれるのだとも考えていました。
つまり、年神様は祖先の神様でもあり、農耕の神様でもあるわけです。

年神様は、正月の間、それぞれの家に滞在されます。
神社と同じように、玄関に注連縄(しめなわ)を飾るのは
そこが、神様がいらっしゃるのにふさわしい神聖な場所であるということ。
大掃除もそのためのものです。きれいにしましょう。

元日(がんじつ)と元旦(がんたん)
元日は1月1日の意味ですが「元旦」は1月1日の朝のことをさします。
※間違って使いがちですので、気をつけましょう。
年神様が降臨するのは元旦、つまり1月1日の朝ですので
くれぐれも、新年早々お昼まで寝ていた、なんてことがありませんように。

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◆小寒(しょうかん)
1月5日頃(2018年は1月5日)。
および大寒までの期間。
太陽黄経285度
冬至 から数えて15日目頃、冬至 と大寒の中間。
寒さが加わる頃という意味で、いわゆる「寒の入り」のこと。

小寒から節分までの30日間を「寒の内」といい
寒風と降雪の時節で、寒さが厳しくなる頃。これから冬本番を迎えます。
寒稽古や寒中水泳が行われるのは、この「寒」の時季です。
※立春が「寒の明け」になります。
この日から、寒中見舞いを出し始めます。

◆大寒(だいかん)
1月20日頃(2018年は1月20日)。
および立春までの期間。
太陽黄経300度
小寒から数えて15日目頃。冬の季節の最後の節気。

寒さがさらに厳しくなり、1年中で最も寒い時季です。
小寒から立春までの30日間を寒の内といい、大寒はそのまん中にあたります。
寒稽古など、耐寒のためのいろいろな行事が行われます。
また「寒仕込み」といって、寒気を利用した食べ物
(凍り豆腐、寒天、酒、味噌など)を仕込むのに最もよい時期とされています。

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『初空月』(はつそらづき)  
旧暦正月の異称

元日の空のことを「初空」といいます。   
初日の出を拝まなくても「初空」を眺める人なら多いのではないでしょうか。   

人は未来に思いを馳(は)せるとき、遠く彼方(かなた)に目をやるもの。  
これから始まる一年を思いやり、自然と空を仰ぐ人が増えることと思います。   
1月が、『初空月』と呼ばれるようになったのは
そんな理由もあってのことかもしれません。    

正月の空の色は、ひときわ美しく見えます。   
「初」という文字を冠して、眺めるからでしょうか。   
空だけではありません。   
年が明けて初めて見るもの、聞くもの、すること…  
どんなものにでも「初」をつけることができるといってもいいくらいです。
昨日までと、突然何かが変わるわけではないのですが…。  

新年を迎えた瞬間、そうやって私たちは心をリセットしてきました。   
初心を忘れないために。  
新鮮な気持ちで見なれた風景を見つめ直すために。   
そして何よりも…
より多くの思い出を容れるためのスペースを空けておくために…。

和風月名
※旧暦正月の別名です。現在の暦では二月頃にあたります。
睦月、 祝月、 太郎月、 年端月、 子日月、 初春月、 嘉月
建寅月、 早緑月、 霞初月、 暮新月、 元月、 三微月
泰月、 端月、 初空月、 眤月、 陬月

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◆~ 文例・例文・手紙の書き方 ~
年が明けて1月になると時候の挨拶を送ると思います。
季語の入った時候の挨拶は風流な文章に見えます。

■時候の挨拶 * 1月■

「正月」「初春」「新春」「孟春」
「厳冬」「極寒」「小寒」「大寒」

「降雪の候」「酷風の候」「大寒の節」
「厳寒のみぎり」「酷寒のみぎり」

「いよいよ寒気がつのり」「寒気厳しき折柄」
「星も凍るような寒い夜」「例年にない寒さ」
「寒気ことのほか厳しく」「霜柱を踏んで」

「雪の晴れ間」「積雪は軒につかえ」
「初春とはいえ」「冬来たりなば春遠からじ」

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◆七十二候
一年を五日ごとに分けることで、自然界の微妙な変化を感じ取れる暦。
それぞれの季節にふさわしい名を付けて時候の移り変りを表しています。

芹生ず(せりしょうず):1月6日~10日頃
芹(せり)/一ヵ所にせり(競)合って生えることから「せり」。 
中国では二千年前から食用に、日本でも古事記に登場、万葉集には
春の野遊びとして芹が詠まれています。

水泉動く(すいせんうごく):1月10日~14日頃
水泉とは地中から湧き出る水のこと。
凍りついた地中の泉が、かすかに暖かさを含む時季。
しかし地上はまだまだ厳寒の季節です。

雉子始めて鳴く(きじはじめてなく):1月15日~19日頃
雉子(きじ)/1947年、日本鳥学会において国鳥に選定。
日本では昔からただ単に「とり」という場合「雉」を指していたそうです。
低木林や草原に棲み、雄はけんけんと勇ましい声、
雌はちょんちょんと優しい声で鳴くとか。

蕗の花咲く(ふきのはなさく):1月20日~24日頃
蕗の薹(ふきのとう)/蕗の薹は蕗の花茎。
素揚げ、花が開いたように美しく揚げて春の味を。
花が咲く前、地面から出てきた直後くらいの柔らかいうちがベスト。
愛らしくて美味しいこの時季の山菜の代表です。

水沢腹く堅し(さわみずあつくかたし):1月25日~29日頃
沢に厚く硬い氷が張りつめるという意味です。
流れ動く沢の水をも凍りつくほど、一年でも最も寒い時季が続きます。